著者のコラム一覧
板坂康弘作家

東京都出身。週刊誌ライターを経て、阿佐田哲也、小島武夫が結成した「麻雀新撰組」に加わり、1972年創刊「近代麻雀」の初代編集長。小説CLUB新人賞を受賞して作家デビュー、著書多数、競輪評論でも活躍。

<3>作家になる原点は少年時代の躓きと傷

公開日: 更新日:

 人生の転機は、おおむね思いがけない形で訪れるものだ。阿佐田哲也さんの人生で、大きな躓きとなった事件が起こったのは、卒業そして中学進学を控えた、小学校6年生3学期だった。

 私は、この躓きをきっかけに起こったいろいろな出来事が、阿佐田哲也という作家を世に送り出したと思う。

 3学期にもなると、授業は少なくなり、阿佐田さんたち進学希望者は、中学の口頭試問の練習などをする。そのときクラスの乱暴者が、彼らにしつこく悪ふざけを仕掛けた。

 阿佐田さんはやめさせるつもりで、机の中からナイフを取り出した。乱暴者が、これを素手で掴んだから、騒ぎになった。傷ついた手から血が流れた。

 そのナイフだが、まったくのお手製。少年たちは遊び道具のない時代、こんなもので冒険心を満たしていた。

 長さ15センチほどの五寸釘を、電車のレールに寝かせて轢かせる。轟音を響かせ電車が走り去ると、レールには熱く潰れた釘が残る。それを砥石で研ぎ、刃を作った。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    やはり進次郎氏は「防衛相」不適格…レーダー照射めぐる中国との反論合戦に「プロ意識欠如」と識者バッサリ

  2. 2

    長嶋茂雄引退の丸1年後、「日本一有名な10文字」が湘南で誕生した

  3. 3

    契約最終年の阿部巨人に大重圧…至上命令のV奪回は「ミスターのために」、松井秀喜監督誕生が既成事実化

  4. 4

    これぞ維新クオリティー!「定数削減法案」絶望的で党は“錯乱状態”…チンピラ度も増し増し

  5. 5

    ドジャースが村上宗隆獲得へ前のめりか? 大谷翔平が「日本人選手が増えるかも」と意味深発言

  1. 6

    「日中戦争」5割弱が賛成 共同通信世論調査に心底、仰天…タガが外れた国の命運

  2. 7

    レーダー照射問題で中国メディアが公開した音声データ「事前に海自に訓練通知」に広がる波紋

  3. 8

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  4. 9

    松岡昌宏も日テレに"反撃"…すでに元TOKIO不在の『ザ!鉄腕!DASH!!』がそれでも番組を打ち切れなかった事情

  5. 10

    巨人が現役ドラフトで獲得「剛腕左腕」松浦慶斗の強みと弱み…他球団編成担当は「魔改造次第」