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てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。最新著「王者の挑戦『少年ジャンプ+』の10年戦記」(集英社)、伝説のテレビ演出家・菅原正豊氏が初めて明かした番組制作の裏側と哲学をまとめた著者構成の「『深夜』の美学」(大和書房)が、それぞれ絶賛発売中!

相方のスベリ恐れずズッと味方に…ダイノジ大地の包容力

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 打ち解けたきっかけは遠足だった。独りで石を投げている大谷に「一緒にメシ食おう」と、大地が誘ったのだ。大谷は当時をこう振り返る。

あの一年は本当に楽しかった。人を笑わせたり、人に笑わされたり、他人から見たらどれもくだらないことばっかりだったかもしれない。でも俺は“笑い”の偉大さを教えてもらったよ。大地さんに」(ワニブックス「リアル芸人交換日記」11年12月28日発売)

 大谷は18歳で上京。しばらくはバッグに包丁を忍ばせ、「コンクリート詰め殺人事件の主犯者や共犯者の住んでいた周辺をパトロールする」といった“奇行”を行っていた。ある日、彼は立川談志落語を見て芸人に憧れる。そんな時、たまたま銀座の路上で大地と再会し、ダイノジを結成したのだ。

 2002年の「M-1グランプリ」(テレビ朝日)で決勝進出を果たすも、スタジオで審査員の立川談志や松本人志ら憧れの顔を見た瞬間、大谷の足はすくんでしまった。その場でネタを変更し、営業用の誰でもウケる“ツカミ”を始め、ネタ自体を飛ばしたのだ。

「じゃない方」に転落した後は、あろうことか嫉妬で相方の足を引っ張るようなこともした。それでも、大地は大谷に文句を言うこともなければ、陰でも一切、悪口は言わなかった。スベることもいとわない包容力で、ずっと味方でいたのだ。

 冒頭の番組で大谷の謝罪と感謝の弁を聞き、涙を落としながら大地はこう言った。

「しくじってるっていうつもりは、僕はなかったんで。みんなが早く進むところ、僕らはちょっと遠回りしただけ」

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