町亞聖さん「アナウンサーとして医療や介護に関する番組を続けたい」

公開日: 更新日:

町亞聖さん(フリーアナウンサー/53歳)

 元日本テレビの町亞聖さん。やりたいことはヤングケアラーだった体験を生かし、全国の学校を回っての授業だという。

  ◇  ◇  ◇

 アナウンサーとして日本テレビに入りましたが、6年目を前に報道記者に。さらに、報道から別の部署に異動し、自分の言葉で伝えるという仕事ができなくなったので、アナウンサーに戻るために40歳で退社したんです。

 だから、死ぬまで続けたいことは、第一にアナウンサーの仕事ですね。今もラジオで医療や介護に関する番組をコツコツとやらせていただいています。

 具体的にやりたいことも医療や介護に関すること。私が18歳の時に母が倒れ(※くも膜下出血)車いす生活になり、それからは今でいうヤングケアラーの暮らしが始まりました。それもあって、病や障害のある人たちの声を届けたいという思いでアナウンサーを志したんです。

 日テレ時代も私のやりたいことに理解のある先輩が、障害のある人や医療に関する3分の短い企画をやらせてくれました。報道に異動してからも、当時はまだ注目されていなかったパラリンピックの取材をすることもできました。水の女王と呼ばれた成田真由美さん(※パラリンピック4大会で15の金メダルを獲得した競泳選手)の活躍は1996年のアトランタ大会から新聞の切り抜きを集めて母に見せたりしていたので、成田さんの密着取材ができたことは今も財産です。

 報道にいた10年は、がん治療、不妊治療などさまざまな取材をしました。でも、当時はまだまだ当事者が簡単に語れる時代ではなく、実名を出して放送すること自体のハードルが高かったので苦労しました。上司からも「町の言っていることはわかるし、大事な問題だけど、でもね」と渋られ、企画を通すだけでもなかなか大変でしたね。

 フリーになり、14年が経ちますが、SNSやユーチューブなどが普及し当事者自らが声を上げやすい環境になったと思いますし、私のラジオでも取り上げています。私が本当に伝えたかったことがやれるまで時間がかかりましたが、時代がようやく追いついてきたのかなと。それでも生きづらさを抱えている人はまだたくさんいます。生きづらさを解消するために、そして偏見や差別がない社会をつくるために伝えていきます。

 ほかには、最近ヤングケアラーについて話してほしいという依頼が増え、一昨年から都立高校で授業をやらせていただいていますので、死ぬまでに全国の中学高校を回ってお話ししたいです。家族の介護や看護を担っていることで進学を諦めるなど、自分のことを後回しにしてしまうヤングケアラーが少なくありません。私の場合は母が車いす生活になっただけでなく、父がお酒を飲んで暴れる人だったことも大きな問題でした。私の話は一例で、いろんな家庭環境があります。

 大人を対象に講演する時には最初から興味を持って聞いてもらえますが、体育館に1学年全員で集まった高校生には「元日本テレビのアナウンサーらしいけど、見たことない」「何を話すんだ」と警戒されるんです(笑)。そんな空気の中、私が高校3年で弟が15歳、妹が12歳で突然母が倒れ私が母親代わりをやることになり、1年後に母が退院しても変わらず、家のことをすべてやりながら進学した話をすると、想像よりインパクトが強いみたいです。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    永野芽郁&田中圭の“不倫LINE”はどこから流出したか? サイバーセキュリティーの専門家が分析

  2. 2

    松本潤、櫻井翔、相葉雅紀が7月期ドラマに揃って登場「嵐」解散ライブの勢い借りて視聴率上積みへ

  3. 3

    遠山景織子 元光GENJI山本淳一との入籍・出産騒動と破局

  4. 4

    低迷する「べらぼう」は大河歴代ワースト圏内…日曜劇場「キャスター」失速でも数字が伸びないワケ

  5. 5

    遠山景織子の結婚で思い出される“息子の父”山本淳一の存在 アイドルに未練タラタラも、哀しすぎる現在地

  1. 6

    反撃の中居正広氏に「まずやるべきこと」を指摘し共感呼ぶ…発信者の鈴木エイト氏に聞いた

  2. 7

    桜井ユキ「しあわせは食べて寝て待て」《麦巻さん》《鈴さん》に次ぐ愛されキャラは44歳朝ドラ女優の《青葉さん》

  3. 8

    キンプリが「ディズニー公認の王子様」に大抜擢…分裂後も好調の理由は“完璧なシロ”だから 

  4. 9

    天皇一家の生活費360万円を窃盗! 懲戒免職された25歳の侍従職は何者なのか

  5. 10

    朝ドラ「あんぱん」教官役の瀧内公美には脱ぎまくった過去…今クールドラマ出演者たちのプチ情報

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「餅」で尿意ストップ! 映画の途中にトイレで席を立ちたくないなら

  2. 2

    元横綱白鵬「相撲協会退職報道」で露呈したスカスカの人望…現状は《同じ一門からもかばう声なし》

  3. 3

    永野芽郁は映画「かくかくしかじか」に続きNHK大河「豊臣兄弟!」に強行出演へ

  4. 4

    阿部巨人が企む「トレードもう一丁!」…パ野手の候補は6人、多少問題児でも厭わず

  5. 5

    永野芽郁&田中圭の“不倫LINE”はどこから流出したか? サイバーセキュリティーの専門家が分析

  1. 6

    天皇一家の生活費360万円を窃盗! 懲戒免職された25歳の侍従職は何者なのか

  2. 7

    気持ち悪ッ!大阪・関西万博の大屋根リングに虫が大量発生…日刊ゲンダイカメラマンも「肌にまとわりつく」と目撃証言

  3. 8

    広島新井監督がブチギレた阪神藤川監督の“無思慮”…視線合わせて握手も遺恨は消えず

  4. 9

    自民にまた「政治とカネ」問題!太田房江氏に選挙買収疑惑、参院選公認めぐり大阪でグチャグチャ泥仕合

  5. 10

    イケイケ国民民主党に陰り? 埼玉・和光市議補選は玉木代表が応援も公認候補まさかの敗北