年末年始に!お出かけ気分を味わえる本特集

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「出戻りて、奈良。シカ県民やりなおし日記」蟹めんま著

 国内大移動の季節が今年もまたやってきた。長い休日で旅行の計画をお持ちの方も多いことだろう。一方で寝正月を決め込んでいる人や、定番の帰省でそれなりに楽しめるけど新鮮味がないと感じている人もいることだろう。そんな人たちにお薦めの、家に居ながらにして外出気分を味わえる本を紹介する。

  ◇  ◇  ◇

「出戻りて、奈良。シカ県民やりなおし日記」蟹めんま著

 16年ぶりに故郷の奈良に出戻った漫画家によるコミックエッセー。

 若くして東京に出たので、奈良のことは通学路以外、何も知らなかったことに気づき、改めて「奈良県民」を一からやりなおしていく過程を描く。

 帰郷してまっさきにやることは鹿へのご挨拶。奈良は人間よりも鹿がえらい県。訪日客や観光客をもてなし、奈良の財政を支えているのは自分たちのおかげだといわれているようで、とりあえず「鹿愛護会」に年会費と寄付を払って入会。

 以降、転入届を出しに行った奈良市役所にあるピカピカの金棒モニュメントの秘密にはじまり、参加者の理性が崩壊する河合町・廣瀬大社の砂かけ祭体験記、東大寺の大仏の大掃除「お身拭い」への参加、恒例行事の若草山の山焼きの意外な起源、奈良市消防局が開発した文化財保護のための秘密装置など、知らない奈良がいっぱい。一読すれば、奈良に行きたくなること間違いなし。

(集英社 1540円)

「日本遠国紀行」道民の人著

「日本遠国紀行」道民の人著

 各地で進む地域の衰退を危惧した著者は、「今あるものをできる限り記録に残す」ため10年をかけ全国を歩いてきた。

 日本でありながら「遠国」になってしまったそんな地方の、今まさに消えようとしている町や民俗、風習、風土の見聞録。

 まずは北海道で、かつて基幹産業だった石炭で栄えた町をめぐる。

 明治12年開坑の道内初の近代炭鉱・幌内炭鉱をはじめ、かつて「炭都」と呼ばれ栄えた夕張市、閉山とともに1万人以上住んでいた街が消えた羽幌炭砿、東洋一の金山と呼ばれた鴻之舞鉱山など、往時をしのびながら歩き、当時の賑わいを知る人々の話に耳を傾ける。

 以降、秋田県内の各集落に祭られている「ドンジンサマ」(人形道祖神)や、中世・近世時代の風習や思想が濃密に残る奥三河(愛知県)に伝わる祭礼「祇園坊主」など、国内7カ所を豊富な写真を添えリポートする。

 観光地でも名所でもないところにも、訪ねるべき場所があることを教えてくれる。

(笠間書院 3300円)

「東京ホリデイ花さんぽ」杉浦さやか著

「東京ホリデイ花さんぽ」杉浦さやか著

 遠くに出かけるのもいいが、近場を散歩するだけでも、気分はリフレッシュするものだ。

 東京には広大な森や季節の花々を楽しめる花園があちらこちらにあり、一年中、「花のリレー」が繰り広げられている。

 本書は、そんな都内のスポットを紹介してくれるお散歩ガイド。

 真冬の今だって、花であふれる場所がある。夢の島公園内の「夢の島熱帯植物館」(江東区)だ。巨大な温室内に、熱帯・亜熱帯の植物約900種が生い茂り、まさに南国。非日常感が味わえる。

 併設カフェや、植物館の裏にある都内最大規模のマリーナとそのマリーナを見下ろすレストラン、さらに最寄り駅近くの複合施設など、花を楽しんだ後の休憩・お立ち寄りのおすすめスポットも紹介。

 以降、2月には都内屈指の梅の名所「羽根木公園」(世田谷区)、3月はツバキが見ごろを迎える「武相荘」(町田市)など、全13エリアの171カ所を紹介。

 来年は本書を片手に東京の花めぐりも悪くない。

(祥伝社 1760円)

「仕事を頑張る人の温泉術」永井千晴著

「仕事を頑張る人の温泉術」永井千晴著

 温泉は日本人に与えられた最高の癒やしのひとつ。だが、いざ行こうとすると、下調べに手間がかかり、なかなか決めきれず、結局無難な有名どころに落ちついてしまう。

 国内外500湯以上をめぐってきた著者による働く人向け温泉ガイド。

 例えば、「疲れを癒やしたいけれどどこに行けばいいのかわからない」人には、お疲れ度合いごとに最適の温泉を紹介。

 体の疲れがマックス状態で、心もかなりお疲れの人にはぬる湯が一番。ということで、群馬県みなかみエリアにある法師温泉と川古温泉がおすすめ。

 体の疲れをしっかりとりたい人には薬湯の玉川温泉(秋田県)や塚原温泉(大分県)をチョイス。

 以降、「せっかく行くなら絶対失敗したくない」とか「疲れすぎて旅先を選ぶのも旅行計画を立てるのも無理」という人など、それぞれに旅行プランと温泉宿をセットで紹介。東京近郊の名宿や、日帰り名湯、さらにはワーケーション向きの宿まで網羅され、あなたにぴったりの温泉が見つかる。

(朝日新聞出版 1540円)

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