2025年ドラマベスト3 「人生の時間」の使い方を問いかけるこの3作
今年のドラマ「ベスト3」を選んでみたい。
1本目は「続・続・最後から二番目の恋」(フジテレビ系)だ。吉野千明(小泉今日子)と長倉和平(中井貴一)が「老いと死」という新たなテーマと向き合った。
定年前の千明と定年を過ぎた和平が経験する喪失や衰えは切実だ。しかし岡田惠和の脚本は悲愴感に寄らず、「老いることを笑い合える関係」の尊さを描いて秀逸だった。
次はNHK夜ドラ「いつか、無重力の宙で」だ。望月飛鳥(木竜麻生)は高校天文部の友人・日比野ひかり(森田望智)と再会。「宇宙へ行きたい」という夢を思い出す。
病を抱えたひかりにリードされ、超小型人工衛星の開発に挑む飛鳥たち。木竜の自然体の演技と武田雄樹の緻密な脚本が、作品に確かな説得力を与え、世の大人たちに「まだ遅くはない」と語りかける一作となった。
3本目は戦後80年ドラマ「八月の声を運ぶ男」(NHK)。本木雅弘演じる辻原保は、被爆者の証言を録音し続けたジャーナリスト・伊藤明彦がモデルだ。一人で全国を歩き、1000人以上の声を集めた執念が胸を打つ。
被爆者・九野和平(阿部サダヲ)の証言が事実と夢想のあいだで揺らぐ展開は、記憶を「語り、聞く」ことの重みを突きつけた。脚本は池端俊策。
今年の秀作3本は、見る側に「人生の時間」の使い方を問いかけることで深い余韻を残した。



















