ストレスで髪が抜けるメカニズムを解明…自己免疫が関係
心配事があると抜け毛が増えるというのは、多くの人が実感として感じていることだと思います。実際、ストレスが脱毛の原因となることは、科学的にも事実であると考えられています。しかし、その原因については、それほど明確なことが分かっていませんでした。
今年の「セル」という一流の科学誌に、それについての最新の知見が報告されています。ネズミを使った実験によると、痛みなどの強いストレスにより、自律神経である交感神経が緊張し、神経伝達物質のノルエピネフリンが分泌されます。
このノルエピネフリンが、毛根の成長に関わっている細胞を攻撃することで、脱毛が起こるのです。
ただ、問題はそれだけでは終わらず、攻撃されて壊死した細胞の影響で免疫細胞が活性化され、自分で自分の体を攻撃してしまう、自己免疫反応が活性化されることも分かりました。自己免疫は膠原病や関節リウマチなど、多くの慢性の病気の原因として知られています。ストレスの体への影響は、それが急性のものであっても、長く残るダメージを体に残すという点が大きな問題であるようです。
今後の課題は、今のような高ストレス社会において、ストレスの体への悪影響を緩和するにはどうすればよいのかについて、答えを探すことにあるのかもしれません。



















