【スペシャル鼎談 箱根駅伝とはなにか】(後編)「山の神」神野大地が明かす青学大・原監督の恐ろしすぎる決断力

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 102回を数える箱根駅伝(東京箱根間往復大学駅伝競走)が2026年も1月2、3日に開催される。初日の往路は東京・大手町を午前8時に一斉スタート。「山登り」5区のゴールである箱根・芦ノ湖駐車場までどんなドラマが繰り広げられるか? 2日目の復路は「山下り」の6区から始まり、ゴールを駆け抜けるのはどの大学か? 3連覇を狙う青山学院大を軸に「5強」の駒沢大、國學院大、早稲田大、中央大がデッドヒートを展開するのか? 果たして番狂わせは起きるのか? 国内屈指の人気スポーツイベントとなった箱根駅伝と深い関わりのある青学大OB3人による鼎談「箱根駅伝とはなにか」を昨年12月23日発売の「新春特別号」(2日までコンビニなどで発売)に掲載。第91回大会で5区を快走して青学大初優勝の立役者となった「山の神」神野大地氏(32)、小説家の堂場瞬一氏(62)、スポーツライターの佐藤俊氏(62)が語り合った【箱根駅伝とはなにか】の後編である――。

  ◇  ◇  ◇

《出場20大学の箱根駅伝登録メンバー16人は25年12月10日に発表され、年の瀬の29日に各区間を走る選手がアナウンスされた。しかし、スタートの1時間10分前(午前6時50分)までは、補欠選手と入れ替えることができる。当日午前7時にならないと往路の出走者が分からず、各大学ともにレースプランは読めない》

 ──青学大初優勝の第91回大会の4区に1年生の田村和希選手が抜擢されました。そしてタスキを受けた神野さんが山を駆け上っていきました。

神野「4区の候補は3人いました。原監督も前日まで深く悩まれたと思います。田村選手は練習で調子の良い時は100点、悪い時は0点という極端なタイプでした。他大学の監督では、怖くて選べなかったと思います」

 ──田村選手は区間賞の走りを見せて2位でタスキを繋ぎ、5区の10キロ過ぎで首位に立ちました。

神野「誰からタスキを受けるのかな、と思っていたら<100点か0点>の1年生が選ばれました。原監督は、言葉としては不適切ですが、バクチ打ちがギリギリまで悩んで勝機を見い出すと、スパッと決断するという指導者です。そういう場面も多く見てきました」

堂場「原監督の決断力の凄さ、なかなかできることではありません。それにしても、こういう裏話を聞いてしまうと箱根駅伝を観戦しているファンたちも怖いというか、おもしろいというか、選手たちの力走の裏側に何があったのか、じっくりと考えてしまいます」

 ──駅伝はタスキを繋いでいくチームスポーツですが、選手が走っている時は「個人競技」という両極端の面があります。

神野「レース中は一人ですから、孤独と戦いながらの走りとなります。でも、チーム全員が同じ場所、同じ時間に(練習した)苦しさを共有し、それを乗り越えてきたという仲間意識があります。気持ちの面で<繋がっている>ことを実感しながら走っています」

堂場「他の競技と比べても、箱根駅伝というスポーツはデリケートにしてセンシティブ。1年365日の中の1月2日と3日の2日間、精神的にも肉体的にもベストのコンディションに持っていかないといけない。特殊なカテゴリーと言っていいでしょう」

佐藤「たとえばサッカーにしても、駅伝にしても<選手個々のレベルアップなくしてチームの成長はなし>という共通項があります。11人が同じピッチで戦うサッカー、たった一人で走る駅伝には競技特性に違いはあっても、個人が努力を重ねて質を向上させ、チームの総合力を上げて最終的な結果に繋げていくという意味では、大きな違いはないと思います」

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