森友文書開示の道を開いた加藤勝信前財務相が自死職員の墓参り 大臣経験者では初めて
2025年も残すところ2日となった12月30日、森友事件の文書開示に道を開いた加藤勝信前財務大臣が、事件で命を絶った近畿財務局職員、赤木俊夫さんの墓参りに訪れた。大臣経験者としては初めてだ。
加藤氏は今年10月まで石破政権で財務大臣を務めた。森友事件の捜査で財務省が検察に任意提出した文書について、従来の方針を覆し今年4月から開示に踏み切った。これまでに9万枚近い文書が出ている。
この日の墓参は3日前、財務省を通し俊夫さんの妻、赤木雅子さんに伝えられた。加藤氏は朝9時、岡山県倉敷市にある赤木俊夫さんの墓所を訪れ、雅子さんと親族が出迎えた。加藤氏は持参した花を墓前に供え線香をあげると、両手を合わせ、じっと40秒ほど祈りを捧げた。
雅子さんは加藤氏の地元・岡山3区の出身で、義父の加藤六月元農林水産大臣のことが話題になった。加藤氏は「娘婿なんですけど似てるとよく言われます」と笑顔で答えた。続けて雅子さんが「加藤さんのおかげで開示が進みました」と感謝を伝えると、加藤氏は表情を引き締め「これからです」と応じた。
森友学園を巡っては安倍政権当時、財務省が国有地を8億円以上値引きし売り払ったことが政治問題になった。首相の妻の安倍昭恵氏が学校の名誉校長で、その名前が取引文書に多数書かれていた。その名前を消す改ざんをさせられたのが赤木俊夫さんで、後に命を絶った。
雅子さんが文書の開示を求めても財務省は長年拒否していたが、今年1月、大阪高裁判決で雅子さんが全面勝訴すると石破茂前首相が上告断念を決断。加藤前財務大臣が「公益上特に必要」という理由で17万枚以上もの文書の開示に踏み切った。
墓参の後、加藤氏は赤木俊夫さんについて次のように述べた。
「長きにわたって一生懸命仕事をしていただいたことに対する感謝と、そうした仕事の中で改ざんをせざるを得なくなりお亡くなりになられたことへのお詫びと、こうしたことを二度と起こさないという誓いを、お墓に向かって申し上げさせていただきました」
雅子さんが真相解明のための再調査を求めていることについては、
「そういう話は前からお聞きしています。財務省の中でできる限りの調査をした。その状況は変わっていないと思います」
これまで通り再調査には慎重な姿勢を示した上で、
「まずは情報を開示させていただく。時間と労力がかかり、見る側(雅子さん)も大変だと思いますが、やはりそれが大事だと思います」


















