著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

日常的な生活パターンからの逸脱が「片頭痛」の発作を引き起こす

公開日: 更新日:

 「片頭痛」の発作が生じる要因は、食習慣、生活環境、心理的ストレスなどさまざまで、複数の要因が互いに影響しあっていることも少なくありません。また、人によって発作が誘発される要因は異なり、その予防に効果的な、単一の原因を突き止めることは困難です。

 一方、近年では普段の生活パターンからかけ離れた状態が生じた場合に、片頭痛の発作が起こりやすい可能性も報告されていました。例えば、突然に予期せぬストレスの負荷や食習慣の変化が発生するような状況です。

 このように、発生頻度がまれで、発生の予測が難しい状況変化を、情報理論では「驚き」と表現します。

 そのような中、片頭痛の発作と情報理論的な驚きの関連性を検討した研究論文が、米国医師会のオープンアクセスジャーナルに、2025年11月11日付で掲載されました。

 米国で行われたこの研究では、片頭痛患者109人(中央値35歳、女性93.5%)が対象となりました。被験者は、自分の行動パターンや感情の変化、片頭痛の発作要因に関する情報、頭痛薬の使用状況などを、28日間にわたって頭痛日誌として記録しました。また、被験者が記録した頭痛日誌をもとに、片頭痛発作の要因に関する情報理論的な驚きの情報量(単位はビット)が計算されています。

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