シンガー・ソングライター大島花子さん「亡き父 坂本九の最後の曲『心の瞳』を広めたい」

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当時「B面」だったこの曲がやがて音楽の教科書にも載るように

 事故の直前にラジオの歌番組の収録があり、父は「心の瞳」を歌ったんです。その放送を聴いた学校の先生が合唱曲として譜面におこされて、それが発端でいろんな学校で合唱されはじめ、やがて音楽の教科書に載るようになりました。

 その後もいろんな合唱団やママさんコーラスで歌っていただいたり、多くのシンガーの方がカバーしてくださった。発売当時はB面になったこともあって、こんなに多くの人に歌われる曲になるとは思いませんでした。

 2004年には母と私と妹でレコーディングして、その後クリスマスに3人で行うコンサートで歌うようになりました。17年にはプロデューサーの方にご提案いただき、オリジナルの音源に、私たち3人がコーラスをかぶせたバージョンを父のベスト盤CDに収録させてもらったりしました。

 もともとは「妻に向けたラブレターのような歌を歌いたい」と父がリクエストして作られた曲という話も聞きましたが、私としては父が持って帰って聴かせてくれた、父との思い出の曲でもあるんです。

 わが家はお互いに曲をプレゼントすることがありました。例えば、私は2、3歳の頃に赤い風船が好きで、父が「レッドバルーン」というキッズソングみたいな曲を作ってくれたり。レコーディングするようなちゃんとしたものではなくて、父がギターの弾き語りでテープに録音して聴かせてくれました。逆に母が作った「パパ大好き」という曲を妹と歌ったり。

 音楽が日常にあった環境でしたし、父との曲のやりとりが私のシンガー・ソングライターの原点なのかなと大人になって感じました。ちなみに「レッドバルーン」は私がのちに音源化しました。

 この先にやりたいことは「心の瞳」を若い世代に受け継いでいくことですね。そして坂本九という歌手のことも若い人たちに知ってほしい。

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