「野党結集」とは別の方法で政権交代を成し遂げ次世代にバトンを渡したい
小沢一郎
戦後政治は、僕たちが自民党を離党して細川政権が誕生するまで、ある意味で特殊な状況の下にあった。米国の技術と市場開放によって経済復興を成し遂げ、政治的には自社(自民党と社会党)体制とは言うけれども、事実上の自民党1党政治の中で、平和に順調に経済発展を遂げることができた。
しかし、1990年代から日本は米国、そして世界から、政治的にも経済的にも「自立」を求められるようになった。それで、日本の政治も僕が目指してきた議会制民主主義、つまり政権交代が可能な民主主義をつくり上げようという動きの中で、93年に細川政権ができた。
細川政権樹立が第1のステップ、2009年の民主党政権誕生が第2のステップ。そして、第3のステップの今は大きな転換期というか、日本の政治が岐路に立たされていると思う。
しかし、野党の現状はどうか。僕は野党が連携すれば政権を取れるとずっと言ってきたし、自公が過半数割れした昨年の衆院選の時にも言ったのだけど、立憲民主党の支持率が野党3位という事実もあってか立憲もまた、国民民主党も日本維新の会もまとまる雰囲気になっていない。そこに参政党が現れたという感じだね。僕は今もまとまって政権を目指すという気持ちは捨てていないけれど、現実的には不可能に近い。とするとね、また自民党政権だ。
現実は少数与党だから、連立を組まないとならないが、立憲の「り」の字も出てこない。もう立憲は国民から忘れ去られているということだ。このままでは、社民党に党名変更した旧社会党と同じ運命をたどるだろう。これは日本の政治にとって悲劇だと思う。今の不安定で中身のない政権が続くと、今後、大変動が起きた時に対応できない。だから、何とかして我々が生き残ることで「国民の生活が第一」の政治を実現しなくちゃいけない。


















