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増田俊也小説家

1965年、愛知県生まれ。小説家。北海道大学中退。中日新聞社時代の2006年「シャトゥーン ヒグマの森」でこのミステリーがすごい!大賞優秀賞を受賞してデビュー。12年「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」で大宅壮一賞と新潮ドキュメント賞をダブル受賞。3月に上梓した「警察官の心臓」(講談社)が発売中。現在、拓殖大学客員教授。

「時代に挑んだ男」加納典明(2)草間彌生さん主導で乱交パーティーが繰り広げられ、俺は…

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善悪を考える暇もなくシャッターを切った

加納「いや、もう全然ないです。その時だけですよ。で、その時も、『じゃあ加納さんのためにパフォーマンスしてあげます』って、イーストビレッジの彼女のスタジオに行ったわけですよ」

増田「マンハッタンですね」

加納「そう」

増田「1969年といったら、まさにイーストビレッジに芸術家やヒッピーたちが住み着くようになった頃。カウンターカルチャーの世界の中心地となっていく」

加納「そのとおりです。それで草間さん、何をやるのかなと思ったらいきなり乱交パーティーですよ。いったいなんだこれはと思いつつ、撮るっきゃねえっつうんで、もう撮りまくった」

増田「衝撃的な光景ですね」

加納「そう。乱交パーティーなんて、見たことも、やったこともないわけでしょ。それも男と女、男と男、女と女、男女入り乱れ、白人黒人入り乱れ、あそこに入れたり、ここに入れたり、口でくわえたり。俺はそれを見ながら善悪も何も考える暇もない。とにかくシャッターを切った」

増田「乱交には草間さんも参加してるんですか」

加納「いや、セックス自体には参加してない」

増田「コーディネーション?」

加納「ハンドリングですね」

(第3回につづく=火・木掲載)

▽かのう・てんめい:1942年、愛知県生まれ。19歳で上京し、広告写真家・杵島隆氏に師事する。その後、フリーの写真家として広告を中心に活躍。69年に開催した個展「FUCK」で一躍脚光を浴びる。グラビア撮影では過激ヌードの巨匠として名を馳せる一方、タレント活動やムツゴロウ王国への移住など写真家の枠を超えたパフォーマンスでも話題に。日宣美賞、APA賞、朝日広告賞、毎日広告賞など受賞多数。

▽ますだ・としなり:1965年、愛知県生まれ。小説家。北海道大学中退。中日新聞社時代の2006年「シャトゥーン ヒグマの森」でこのミステリーがすごい!大賞優秀賞を受賞してデビュー。12年「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」で大宅壮一賞と新潮ドキュメント賞をダブル受賞。3月に上梓した「警察官の心臓」(講談社)が発売中。現在、拓殖大学客員教授。

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