ビジネスリーダーなら見習いたい「高倉健」という生き方
銀幕のスターとして数々の名作に出演した高倉健(享年83)。彼の生きざまはビジネスマンも参考にできるところがある。
健さんの人生で大きな転機となったのがやくざ映画からの脱皮だった。「網走番外地」「昭和残侠伝」などで人気を博し、任侠映画界の立役者となったが、70年代後半、任侠路線と縁を絶って新しい道を歩み始めた。その象徴的な作品が46歳で出演した「幸福の黄色いハンカチ」(77年)だ。刑務所を出所した男が妻を訪ねるロードムービー。当時、ファンの間で「高倉健がやくざ映画に出ないのはけしからん」との声が起きた。「私もそのひとりでした」と言うのは芸能評論家の肥留間正明氏だ。
「映画界への裏切りと思えたのです。しかし健さんはやくざ映画の時代はもう終わりと読んでいたし、東映との確執もあった。なにより自分の殻を破りたかったのでしょう。彼のすごいところは任侠路線とは違うキャラをつくり、しっかり実績を残したこと。数々の名作を世に送り出しました」