著者のコラム一覧
髙橋裕樹弁護士

「すべては依頼者の笑顔のために」がモットー。3000件を超す法律相談実績を持ち、相続や離婚といった身近な法律問題から刑事事件、企業法務まで何でもこなすオールマイティーな“戦う弁護士”。裁判員裁判4連続無罪の偉業を成し遂げた実績を持つ。アトム市川船橋法律事務所。

広陵高校野球部の問題を軽く考えないでほしい…法的に見れば刑事事件

公開日: 更新日:

 広陵高校野球部が世間からの強い批判を受け、甲子園大会期間中に異例の辞退を発表しました。この件は、学校や監督、さらには高野連がいじめの存在を把握していながら出場を止めなかったという点で、大きな社会的関心を呼んでいます。

 この問題を通じて改めて考えさせられるのが、「いじめ」という言葉が本来持つ曖昧さです。暴行や傷害、脅迫といった明確な加害行為であっても、「いじめ」という表現を使うことで、その重大性が過小評価されてしまうことが少なくありません。しかしながら、法的に見れば、これらは明確な刑事事件であり、被害者の心身に深刻な影響を与えるものです。

 特に学校や監督は、いじめに対して「第三者」の立場ではなく、法的な安全配慮義務を負った責任当事者です。いじめを把握しながら適切な対応を怠れば、私立学校であれば民法709条に基づく不法行為責任、公立学校であれば国家賠償法による賠償責任が問われる可能性があります。

 加えて、学校だけでなく、高野連にも競技の公正性や選手の安全を守る責任があると考えられます。今回のような部員間の深刻ないじめ、被害生徒が転校を余儀なくされた重大な事案に対し、事前の出場辞退がなされなかった点については、ガバナンス体制の見直しや指導の在り方が問われるべきでしょう。

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  2. 2

    マエケンの「DeNA入り」が急浮上! 古巣広島まさかのNO、巨人はマー君が足かせで動けず

  3. 3

    DeNA次期監督候補に谷繁元信氏が浮上…南場智子オーナーのイチオシ、本人も願ったりかなったり

  4. 4

    サッカー界で囁かれる森保J・長友佑都の“お役御免”と大物選手の代表復帰

  5. 5

    参政党の党勢拡大に早くも陰り…「聖地」加賀市で“親密”現職市長が惨敗落選の波乱

  1. 6

    公明党が「自民との連立離脱も辞さず」の背景…まさかの“国政撤退”もあり得る深刻事情

  2. 7

    巨人が楽天・辰己涼介の国内FA争奪戦に参戦へ…年齢、実績的にもお買い得

  3. 8

    ドジャースの“朗希タンパリング疑惑”で大迷惑!米29球団&日本プロ球団こぞって怒り心頭の納得理由

  4. 9

    号泣の渋野日向子に「スイングより、歩き方から見直せ!」スポーツサイエンスの第一人者が指摘

  5. 10

    草間リチャード敬太容疑者が逮捕…コンビニバイトと掛け持ちの苦労人だったが横山裕のセレクトに難あり?