広陵高校野球部の問題を軽く考えないでほしい…法的に見れば刑事事件
広陵高校野球部が世間からの強い批判を受け、甲子園大会期間中に異例の辞退を発表しました。この件は、学校や監督、さらには高野連がいじめの存在を把握していながら出場を止めなかったという点で、大きな社会的関心を呼んでいます。
この問題を通じて改めて考えさせられるのが、「いじめ」という言葉が本来持つ曖昧さです。暴行や傷害、脅迫といった明確な加害行為であっても、「いじめ」という表現を使うことで、その重大性が過小評価されてしまうことが少なくありません。しかしながら、法的に見れば、これらは明確な刑事事件であり、被害者の心身に深刻な影響を与えるものです。
特に学校や監督は、いじめに対して「第三者」の立場ではなく、法的な安全配慮義務を負った責任当事者です。いじめを把握しながら適切な対応を怠れば、私立学校であれば民法709条に基づく不法行為責任、公立学校であれば国家賠償法による賠償責任が問われる可能性があります。
加えて、学校だけでなく、高野連にも競技の公正性や選手の安全を守る責任があると考えられます。今回のような部員間の深刻ないじめ、被害生徒が転校を余儀なくされた重大な事案に対し、事前の出場辞退がなされなかった点については、ガバナンス体制の見直しや指導の在り方が問われるべきでしょう。