新たな法律を作らない限り…「チャイニーズドラゴン」の通訳をして思うこと
在日中国人の間にはいくつかの“黒社会”組織が存在する。今でいう反社で、出身地域によって、〈福建幇〉〈上海幇〉〈北京幇〉〈広東幇〉〈東北幇〉などに分かれて結成されるが、どこもお金のために身をていして、刃物や拳銃を使って平気で人を殺すゆえ、日本のヤクザも恐れていたという。
1990年代はまさに中国人マフィアの全盛期。94年8月10日、新宿・歌舞伎町でシンボリックな事件が起こった。
通称“青竜刀事件”。午後8時ごろ、歌舞伎町のビル「風林会館」のすぐ南側路地にある北京料理店「快活林」が男たちに襲撃された。上海マフィアとされる5人衆が刺し身包丁やサバイバルナイフで店内にいた人々を次々と切り裂き、店長に重傷を負わせ、従業員と客の2人が死亡した。
店の名前「快活林」というのは中国の古典名著「水滸伝」に書かれた場所。北宋時代の豪傑たちは青竜刀を振り回していた。警視庁は水滸伝をヒントにしたのか、事件を中国マフィア対立抗争の象徴と見なし、「青竜刀事件」と呼んだ。実際は青竜刀を使ってはいないのだが、当時は“凶悪な中国マフィア”という恐怖感を植え付け、注意を喚起する治安当局の思惑があったと警察OBが語っている。