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島村英紀武蔵野学院大学特任教授

武蔵野学院大学特任教授。1941年東京生。東大理学部卒。東大大学院終了。理学博士。東大助手、北海道大学教授、北海道大学地震火山研究観測センター長、国立極地研究所長などを歴任。専門は地球物理学(地震学)。『完全解説 日本の火山噴火』、『火山入門──日本誕生から破局噴火まで』、『直下型地震──どう備えるか』『地震と火山の基礎知識──生死を分ける60話』『日本人が知りたい巨大地震の疑問50』『新・地震をさぐる』など著書多数。

2022年の震度6強・福島沖地震では新幹線の「脱線事故」が発生…関係者が警鐘する“ロシアンルーレット”の打破

公開日: 更新日:

 重大なのは地震のわずか3分前に、この列車が長さ約8.6キロの魚沼トンネルをフルスピードで駆け抜けていたことだ。同トンネル内では地震でレールの土台が25センチも飛び上がり、1メートル四方以上の巨大なコンクリートが壁から多数落ちたほか、各所が崩壊していた。地震が列車の通過時に起きていたら、大事故になっていたのは間違いない。

 このときの脱線でも対向する上り線への横倒しなど甚大化は避けられた。

 だが、2022年の福島-白石蔵王間の高架橋で損傷が見つかった。同区間では、架線を吊っている電柱の傾斜や圧壊も起きている。新幹線そのものに耐震補強が施されても、線路が地震に耐えられないとなると、問題は大きい。

 日本は地震多発地帯である。今の学問では、いつ、どこで地震が起きるかを知ることはできない。新潟県中越地震や東北地方太平洋沖地震も、前兆を捉えられなかった。

■ロシアンルーレットのよう

 関係者の間ではいつか当たるかもしれないロシアンルーレットのようだと言われている。再発防止のため新幹線の脱線・逸脱防止対策のさらなる高機能化が必要だとしている。しかし対策は相手が膨大で、遅々として進まず、他方新幹線は毎日数百本も走り続けている。

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