外形標準課税拡大で狙い撃ち 中小「100万社」倒産リスク
安倍政権が新成長戦略の目玉に掲げた法人税の引き下げ。安倍首相は現在35%程度の法人実効税率を“ドイツ並み”の29%に下げ、株高を演出するもくろみだが、そのためには3兆円の財源が必要になる。代替財源として政府が狙っているのは、中小企業への課税強化だ。
政府税制調査会は、法人実効税率を引き下げる代わりに、税収の目減り分は「外形標準課税」を強化することで補うつもりだ。「外形標準課税」は2004年に導入された地方税の法人事業税の仕組みで、現在は資本金1億円以上の大企業にしか適用されていない。これを中小企業にまで広げようというのだ。
■赤字企業も容赦なし
国税庁の税務統計によると、12年度の日本の法人数は253万社。このうち85%の216万社が「資本金1000万円以下」の中小企業。全体の70%の177万社が赤字企業だ。現在、外形標準課税は0.7%の1万8000社にしか適用していない。
日本は原則、赤字企業は課税されない。資本金1億円以下の中小企業はほとんど赤字のため、法人税を払っていない。もし、外形標準課税が強化され、赤字の中小企業にまで適用されると、1社あたり平均161万円の増税になるという(日本商工会議所の試算)。