高橋乗宣
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高橋乗宣エコノミスト

1940年広島生まれ。崇徳学園高から東京教育大(現・筑波大)に進学。1970年、同大大学院博士課程を修了。大学講師を経て、73年に三菱総合研究所に入社。主席研究員、参与、研究理事など景気予測チームの主査を長く務める。バブル崩壊後の長期デフレを的確に言い当てるなど、景気予測の実績は多数。三菱総研顧問となった2000年より明海大学大学院教授。01年から崇徳学園理事長。05年から10年まで相愛大学学長を務めた。

失政隠しの反論封印…消費増税断念を1人で決めた独裁者

公開日: 更新日:

 いつから日本は独裁国家になったのか。国庫の収支や国民生活を大きく左右する消費増税の先送りを安倍首相はたった1人で決断したように振る舞う。異様な光景だ。

 これだけ重い政治判断を国会はおろか、与党内にも議論の機会を与えず、首相が唐突に自分勝手なタイミングで決めるなんてムチャクチャだ。消費税率の引き上げが首相の専権事項でないことは言うまでもない。民主国家ではあり得ないプロセスをみると、かねてその傾向はあったとはいえ、安倍首相は本当に自分が独裁者になったつもりでいるのかと疑うほかない。

 自公与党だって軽減税率の導入を巡っては昨年末にスッタモンダの末に合意に至るまで、数カ月間も議論を重ねてきたではないか。それなのに、軽減税率導入の前提となる消費増税の可否については首相に丸投げ。議論の場を求めようとしないのは、実に奇妙なことだ。

 ましてや、麻生財務相や谷垣幹事長らは「先送りなら国民に信を問え」と公言するなど、自民党内からも異論が出ていた。景気の現状認識や先送りのデメリット、特に財源不足は必至の社会保障対策などを少なくともまずは与党内で議論を尽くすべきだ。議論を踏まえた末に決断してこそ、民主国家のトップの政治姿勢と言える。

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