釈然とせず…テロが疑われるサウジ皇太子と天皇陛下の会見
7月2日、サウジアラビアのムハンマド皇太子は、天皇陛下と会見した。サウジ側からの願い出があったもので、陛下が即位後に外国王族と会うのは初めてのことだった。サウジアラビアには日本の皇室に対する敬意があり、天皇陛下が皇太子時代の1994年、雅子妃とともにサウジを訪問すると、熱狂的に迎えられた。サウジアラビアは20世紀に遊牧部族の首長がつくった国で、王族の歴史も日本の皇室に比べると、はるかに伝統が浅い。
ムハンマド皇太子は、大阪で開かれたG20サミットに出席するために来日し、米国のトランプ大統領や日本の安倍首相とも会談した。6月29日に行われたムハンマド皇太子との朝食会でトランプ大統領は、サウジによる米国製武器の購入に謝意を表明し、ムハンマド皇太子が反テロ対策に多大な貢献をしたと称賛した。
しかし、このムハンマド皇太子は、昨年10月にトルコ・イスタンブールで、サウジアラビア人記者のジャマル・カショギ氏殺害というテロを主導したと指摘される人物である。6月19日、国連のカラマール特別報告者は、カショギ氏殺害は「ムハンマド皇太子の承諾なしには実行できない」と主張し、皇太子をはじめとするサウジ高官たちを捜査する必要があると述べた。殺害の痕跡を完全に除去した証拠もあるという。