「つい言い間違えた」発言は日本の官僚機構が瓦解した象徴
2020年2月19日の衆院予算委員会で答弁に立った人事院局長の言葉に愕然とした。
「つい言い間違えたということでございます」
観念したかのようにそう口にした松尾恵美子局長。これは立憲民主党の山尾志桜里議員が、黒川弘務東京高検検事長の定年延長について問うた時の答弁だ。検察庁法で定年が決められ、国家公務員法の定年延長は検察官には適用されないとの国会答弁が過去になされている。それを知ってか知らずか安倍総理が、解釈を変更したと言い出したから、官僚が説明する言葉を失っている。
国会での不規則発言や「記憶にない」発言は今や珍しくないが、参考人である官僚が「言い間違えた」と発言するのはあまり見ない。何を「言い間違えた」のか? この一連の解釈変更について政府は次のような説明をしている。まず、1月17日に法務省から解釈変更について内閣法制局に相談があり、21日に「了とした」という。翌22日に法務省は人事院に相談し、24日に解釈の変更を認める回答をしたという。
ところが、その20日後の2月12日の予算委員会で国民民主の後藤祐一議員が解釈変更の有無を問うた際に、松尾局長は、「現在までも、特にそれについては議論はございませんでしたので、同じ解釈を引き継いでいるところでございます」と答えているのだ。