著者のコラム一覧
保阪正康作家

1939年、北海道生まれ。同志社大卒。編集者を経て「死なう団事件」でデビュー。「昭和天皇」など著書多数。2004年、一連の昭和史研究で菊池寛賞。本連載「日本史 縦横無尽」が『「裏切りの近現代史」で読み解く 歴史が暗転するとき』(講談社)として好評発売中。

「清水の舞台から飛び降りる覚悟が必要」と東條は言った

公開日: 更新日:
日中戦争で南京の中華門に向けて一斉砲撃を加える日本軍戦車隊(1937年12月)/(C)共同通信社

 東條陸相と近衛首相の対立は、単に外交か軍事かという衝突ではなかった。10月10日の近衛の私邸での四者会談以後、2人は極めて感情的に意見をぶつけ合った。14日の閣議では、近衛は「支那撤兵」を懇願の形で東條に伝えている。すると東條はますます居丈高になり、「撤兵とは退却のことです。譲… 

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