「選べなかった命」河合香織著

公開日: 更新日:

 田中光は4人目の子供を妊娠したとき、羊水検査は陰性だと言われて安心して出産したが、生まれた子・天聖はダウン症だった。医師は自分のミスを認めた。天聖をかわいいと思えないと光は自分を責めたが、一過性骨髄異常増殖症で苦しむ天聖の姿に、この子ががんばるのは生きたいからだと気づく。

「私たちのもとに帰って来て、我が家で過ごしたいからなんだ」。3カ月半で天聖は死んだ。生存中から、ミスをした医師に訴えを起こしてほしいと言われていた。だが、慰謝料は両親に対するもので、3カ月半苦しんだ天聖に対するものではなかった。

 出生前診断をめぐって起こされた裁判を通して、命の選別の是非を問うノンフィクション。

 (文藝春秋 1700円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    萩原健一(6)美人で細身、しかもボイン…いしだあゆみにはショーケンが好む必須条件が揃っていた

  2. 2

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…

  3. 3

    僕に激昂した闘将・星野監督はトレーナー室のドアを蹴破らんばかりの勢いで入ってきて…

  4. 4

    迷走するワークマン…プロ向けに回帰も業界では地位低下、業績回復には厳しい道のり

  5. 5

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  1. 6

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 7

    「高額療養費制度」見直しに新たな火種…“がん・難病増税”に等しいのに、国家公務員は「負担上限」据え置きの可能性

  3. 8

    「(来季の去就は)マコト以外は全員白紙や!」星野監督が全員の前で放った言葉を意気に感じた

  4. 9

    フジテレビに「女優を預けられない」大手プロが出演拒否…中居正広の女性トラブルで“蜜月関係”終わりの動き

  5. 10

    八潮市の道路陥没事故で爆笑動画…“炎上連発”中町綾を起用したCanCamに《格が落ちた》SNS嘆き