「脱・筋トレ思考」平尾剛著
競技力の向上や健康維持を目的とする「筋トレ主義」が蔓延している。ベンチプレスやスクワットなどで大筋群を鍛えることが多いが、筋肉量の多い選手が試合に勝つとは限らない。小柄な選手が大柄な選手に勝つことも少なくない。筋トレに傾倒しすぎることは「しなやかな身のこなし」を阻害する方向に働く。特定の動きを習得するためのコツやカンを掴むためには感覚世界に身を置くことが必要である。
言語化・数量化できないそういう身体の作動の総称を「身体知」としてとらえ、その能力を伸ばすことが重要なのだ。実はスポーツに限らず、教育の現場でも「筋トレ主義」が横行していると著者は言う。
安易な「筋トレ主義」を乗り越えるための一冊。
(ミシマ社 1800円+税)