3D映像で記録 異色の「3・11ドキュメンタリー」が公開
東日本大震災を取り扱った番組や作品は1000を超えるが、3D映像で記録した映画は初めて。震災直後から3年半、東北の被災地を定点観測してきたドキュメンタリー「大津波 3・11未来への記憶」の東京上映が21日、ヒューマントラストシネマ渋谷で始まった。
監督の河邑厚徳氏はこう言う。
「大震災から4年を経て何を伝えるのか。これだけ時が経過しないと描けないテーマがありました。被災地の直近を取り上げ、3.11間近の“年中行事”のようなドキュメンタリーではなく、定点観測したからこそ見えてくるものがある。20年、30年……1000年単位で3.11をどのように後世に伝えていくか。大震災を経験したすべての日本人が共有する“根っこの作品”を目指しました。皆が前進していくための希望であり、ともしびにならないと意味がないと考え、反芻し、ようやくできた一本です」
製作したのは、NHKの関連会社「NHKメディアテクノロジー」。25年以上前からハイビジョン3D映像を手がけてきたトップランナーだ。プロデューサーの智片通博氏らは釜石、陸前高田、気仙沼、石巻や南三陸町などで被災から復旧、復興に至る経緯をリモコンヘリを使った空撮を含めて記録。景観だけでなく、取材地ごとに一家族の歳月を追い、それぞれの苦悩や再起、ふるさとへの思いを収めた。そんな映像と証言に加え、語りの役所広司、山根基世の朗読が静かに訴える。