著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学元教授、医事評論家

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

(2)エンゲル係数の一時抑制は栄養改善につながらない

公開日: 更新日:

 食料品の値上げによるエンゲル係数の上昇は、大きな政治課題です。先の総選挙で各党が「食料品の消費税減税」を打ち出し、それに押される形で高市政権も「食品にかかる消費税を2年間停止する」と宣言しました。この公約が実現すれば、エンゲル係数は下がり、国民の栄養状態も一時的に改善するかもしれません。

 しかし最重要のコメ問題は、依然、先行きは見えません。コメは炭水化物だけでなく、ビタミンB群やミネラルを含みます。さまざまな食材と組み合わせやすく、日本人の健康を下支えしてきました。政府は「コメの増産を進める」と言っていますが、「農家が市場や需要を見て生産量を決める」との立場に変わりはなく、生産者重視、農協重視の姿勢を維持しています。以前の値段で安定的にコメを買える時代は、二度と来ないでしょう。米価の高止まりはコメの摂取量減少につながり、さらなる食の西洋化による健康問題を増やす恐れがあります。

 また公約の2年間にも、食料品の値上げが続くはずです。日本の農業や畜産業は、実質的に石油に頼っています。生産のみならず、保管や輸送にも石油は欠かせません。そのため原油が値上がりすれば、食品価格にもろに影響が表れます。アメリカ・イスラエルによるイラン攻撃が、今後の原油価格にどう影響するかが危惧されるところです。

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