たった1日マラソンセッションの「ボーカリスト見本市」
『ベイビー・イッツ・ユー』
今回はアルバム『プリーズ・プリーズ・ミー』の残り4曲を一気に。テーマは「ボーカリスト見本市」。
まずはジョン。作曲は、映画『明日に向って撃て!』の主題歌=B・J・トーマス『雨にぬれても』で知られるバート・バカラックである。
『アンナ』同様、ジョンのボーカルに聴き入ってしまう。特に再生時間「0:43」から、1番の最後「♪キャント・ヘルプ・マイセルフ」と盛り上がって、その後「♪コーズ・ベイビー・イッツ・ユー」とストンと落とすところなど、たまんねぇな。
■『ドゥ・ユー・ウォント・トゥ・ノウ・ア・シークレット』
続いてはジョージ。
タイトルが長いな。邦題好きとしては、こういうタイトルこそ邦題をと思う。ラヴィン・スプーンフルのヒット曲『魔法を信じるかい?』(65年)風に「秘密を知りたいかい?」でどうだろう。
キュートなメロディーに乗る、ジョージの幼いボーカルも魅力といえば魅力。「♪(ドゥ・ユー・ウォント・トゥ・ノウ・ア)・シーク“ル”」と最後、舌を巻いて終わらせるとジョージっぽくなると、ジョージ好き(ポール嫌い)の高橋幸宏がラジオで言っていた記憶がある。
■『ア・テイスト・オヴ・ハニー』(蜜の味)
続いてポール。元々はブロードウェイ・ミュージカル用の曲。それにしても、ジョン、ジョージと比べて、ポールの声の老成していること。この後、どんどん声が変わっていく(加工していく)ジョンに比べ、大げさにいえば、今のポールと同じ声に聴こえる。
なお、この曲、日本では中尾ミエ版で知られる。1966年のNHK紅白歌合戦で紅組のトップバッター、20歳の中尾は、この曲をミニスカート姿で歌い踊る。
■『ゼアズ・ア・プレイス』
歌も演奏も不安定なのは、たった1日の「マラソンセッション」、最初の曲だったからか。
そもそも曲自体が、まだまだこなれていない。「レノン=マッカートニー」の習作と言えよう。
いまだに歌い出し「♪ゼーーーーーイ」にギョッとしてしまう。確定申告中(今日が提出期限ですよ)だけに「税」の歌かと思ってしまう。
ただジョンとポールのハーモニーのところだけは別次元の輝き。途方もない回数のライブでハモり続けることで倍音が揃ってきたのだろう。声がきれいに重なってゾクゾクする。
と、納得しつつ、4人の未来にゾクゾクしつつ明日からはセカンドアルバム『ウィズ・ザ・ビートルズ』へ。
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