著者のコラム一覧
細田昌志ノンフィクション作家

1971年、岡山市生まれ、鳥取市育ち。CS放送「サムライTV」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。7月に「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」(新潮社)が、第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。

“ピス健”が現れると道がサッと開く「一緒にいる俺までが偉くなったみたいで…」

公開日: 更新日:

 そんなエスタブリッシュメントにつらなる存在ながら、射撃の名手「ピス健」の異名を取るなどアウトローの道を進んだ嘉納健治だが、その一方では、柔道と拳闘(ボクシング)の他流試合「柔拳興行」を興し、これが大ヒット。一気に大物興行師となる。

 当時の神戸には最大の歓楽街・新開地に「聚楽館」という大きな建物があった。1913年に落成された鉄筋3階建て、地下1階の西洋建築の大劇場である。7代目松本幸四郎の歌舞伎公演と、松井須磨子主演、トルストイ作「復活」をこけら落としに据え、以降も「西の帝劇」にふさわしく、和洋織り交ぜた豪華なラインアップを上演している。ここで催される興行権を握っていたのが嘉納健治だった。

 さらに嘉納は浅草オペラの大スター・高木徳子の後見人として劇場公演や巡業の一切を取り仕切り、興行界の顔役ともなっている。また、喜劇役者の古川ロッパの当時の日記には「神戸の有名な親分。小男だが面白い奴」と日常の嘉納についての記述もある。

 戦後の一時期、嘉納は自宅に居候していた野口修を賭場や劇場に連れ回し、いたく可愛がっていたという。生前の野口修の回想がある。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  3. 3

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  4. 4

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  5. 5

    坂口健太郎に永野芽郁との「過去の交際」発覚…“好感度俳優”イメージダウン避けられず

  1. 6

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  2. 7

    板野友美からますます遠ざかる“野球選手の良妻”イメージ…豪華自宅とセレブ妻ぶり猛烈アピール

  3. 8

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景