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「日本政治の大問題」辻元清美、小塚かおる著

 東京都議選に続いて、まもなく始まる参議院選挙。しかし一般選挙民の間での政治不信は根深い……。



「日本政治の大問題」辻元清美、小塚かおる著

 本書の最初の企画は1年前。旧安倍派を中心とした自民党の裏金問題が暴露されたのを機に自民党政治の大批判をする予定だった。

 ところがその後、日本の政治は一気に流動化。SNSが予想外の影響力を発揮し、陰謀論が大手を振ってまかり通る。これまで数の力で専横をくりかえした自公は昨年秋の解散総選挙で過半数割れを起こし、あきれた兵庫県知事選やらが続く。そこで本書の著者ふたり、立憲議員の辻元氏と本紙編集局長は策を練り直し、いま日本政治に起こっている諸問題に徹底したメスを入れることにした。

 前回の都知事選で事前に予想された対決構図が水泡に帰したのを受けて「私たちって古くなっちゃったのかな」と発言して批判された辻元氏だが、それは単なる弱音ではなく、徹底した反省の中から立ち直ろうとする強い意志を秘めた発言だったようだ。現に本書は政治批判のオンパレード。夫婦別姓問題ひとつ取っても自民党の古すぎる体質に経団連幹部までが「日本は恥ずかしい」という始末だ。

 徹底した批判の中の絶望からむしろ希望の芽は育つはず。その確信が本書にはみなぎっている。

(朝日新聞出版 990円)

「法が招いた政治不信」郷原信郎著

「法が招いた政治不信」郷原信郎著

 法令順守とコンプライアンスの視点からさまざまな問題に切り込む社会派弁護士の著者。当然のように既成政治への批判は舌鋒鋭くなるが、近年の課題は「政治家を罪に問えば問題は解決するのか?」ということだ。自民党裏金問題も検察不祥事問題も、追及すればするほど見えてくるのは、政治家を罰しても回復しない政治不信の根深さ。それが近年のSNSの威力にも表れているという。

 都知事選での石丸躍進、衆院選での国民民主の大量得票、兵庫県知事選、名古屋市長選。いずれもSNSが激変をもたらした。著者は「世襲が幅を利かせ、不透明な資金のやり取りが横行していた日本の選挙をめぐる旧来の構造が一変したことは歓迎すべき」としながらも、その「副作用」すなわちデマの横行や選挙運動買収嫌疑などの問題が持ち上がったことを問題視する。

 本書では著者が関わった過去の事例を具体的にふりかえりながら、社会にヒビを入れた政治不信の根深さをこれでもかとばかり突き付ける。問題の核心はまさにここだと納得させる。

(KADOKAWA 1760円)

「さらば!グローバル資本主義」森永卓郎、神山典士著

「さらば!グローバル資本主義」森永卓郎、神山典士著

 今年1月に惜しまれながら亡くなったモリタクさん。庶民の気持ちのわかるエコノミストとしてお茶の間で親しまれたが、経済の問題は政治に密着する。日本政府や日銀のあまりの無策に呆れたモリタクさんは森喜朗政権のころから大蔵省・財務省との対決姿勢を強め、特に新自由主義や市場原理主義は構造改革の名を借りた弱者切り捨てと強く批判した。発言はストレートでわかりやすく、しかも政権に容赦ないため、公安調査庁の定点観測(見張り)の対象にもなっていたという。

 本書はノンフィクション作家との共作形式でモリタクさんの書き下ろしと聞き書きをまとめたもの。それゆえ繰り返しも多いが、これだけは言い残すのだという強い気迫の表れだろう。

 かつて経済企画庁に出向時代、バブルを予測したのに職場の誰も耳を貸さないのにじれて年収300万しかない身で所沢に土地を購入。都心から1.5~2時間の場所を「トカイナカ」と呼んで、都心の暮らしに対抗する拠点と勧めた。トカイナカの不便なところも遠慮なく記す。政治に物申すからには自分にも厳しく正直なモリタク流だ。

(東洋経済新報社 1650円)

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