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石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

「難聴」が社会での孤立を進める? 70歳以上の3分の2が該当

公開日: 更新日:

 年齢に伴う難聴は、70歳以上では3分の2に認められるほど多い病気です。耳の聞こえが悪いという症状は、会話が成立しにくくなることで、社会における孤立感の原因となり、認知症のリスクも高めることが指摘されています。たしかにクリニックで患者さんを診ていても、難聴があるとコミュニケーションが取りにくく、結果として診療が困難であることを実感します。

 とくに認知症の患者さんで難聴があると、認知症の診断や治療も難しく、結果として進行が早くなることも多いのです。ただ、認知症が進行した時点で補聴器などの治療をしても、器具の扱いがスムーズにできなかったり、つけることを忘れてしまったりして、うまくいかないことが多いのも指摘されています。

 それでは、早期の段階で難聴を治療することで、その後の経過に違いはあるのでしょうか? 今年の米国医師会関連の医学誌に、難聴の治療の社会の孤立感に対する効果を検証した論文が掲載されています。

 アメリカで977人の70歳以上の高齢者を対象として、老人性の難聴を、定期的な検査や補聴器の使用などの介入を行った場合と、行わなかった場合で3年間比較したところ、治療群で人とのつながりが増え、孤独感が軽減する効果が確認されました。

 年齢に伴って耳の聞こえが悪くなった時には、早期に積極的な治療をすることが、老後の健康のために重要であるようです。

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