地銀に蔓延する「ステルス投資」にメス! 金融庁が新人事で監視強化へ
金融庁は23日、井藤英樹長官が退任し、伊藤豊監督局長が昇格する人事を固めたと日本経済新聞が報じた。監督局長の後任には石田晋也総括審議官を充てる。発令は7月の見通しという。
その伊藤新長官の下、厳しくメスが入るとみられているのが地銀を中心とした「仕組み貸し出し」だ。貸し出しと銘打っているものの、実態は投資。いわば貸し出しに見せかけた「ステルス投資」である。金融庁は、監視強化に乗り出した。
金融庁幹部は2月中旬の地銀・第二地銀幹部との会合で次のように指摘した。
「金融庁のモニタリングにおいて、地域銀行における仕組み貸し出しの実態を検証したが、一部の地域銀行では、利回りの確保、貸出残高の増加、時価評価開示の回避などを目的に仕組み貸し出しを拡大している実態を金融庁は確認している」
ここでいう仕組み貸し出しとは、証券会社などが設立した国債を保有する特別目的会社(SPC)に銀行が融資する投資商品で、「国債リパッケージローン」と呼ばれる。SPCなどは国債を購入した上で、証券会社とデリバティブ(金融派生商品)契約を結び、地銀はデリバティブ関連損益と国債関連損益をリパッケージしたローン利息を受け取る仕組みだ。