重篤な副作用に迅速に対処するために配布される「緊急安全性情報」
クスリは病気の治療に用いられるものですが、当連載でも何度かお話ししたように、体にとっては異物である以上、どのような副作用がどのようなタイミングで起こるのかはなかなかわかりません。中には命に関わるような重篤なものも含まれています。そのような副作用が出てしまったときに出されるのが「緊急安全性情報」です。われわれ医療従事者は日頃からかなり気をつけているものです。
緊急安全性情報とは、医薬品や医療機器の添付文書が改訂された際に、製薬会社から配布される文書のことです。黄色の紙で出されることから、イエローレターともいわれます。正確には厚生労働省の指示のもと製薬会社が作成・配布するもので、わかりやすくいうと医薬品や医療機器で重篤な副作用が起こったときに迅速な対応を促すための重要性かつ緊急性の高い情報を出すための文書となります。一例を挙げると、あるクスリを使ったときに重篤な肝機能障害が出ることがあり何件か死亡例も出てしまったから注意するように……といった感じです。
緊急安全性情報は、「内容の要約」「そのクスリを使用する際に特に注意すべき点」「重篤な副作用が起こった症例の実際の経過」「添付文書の警告文の改訂箇所」から構成されていて、医療従事者はそういった副作用が起こらないように、あるいは起こったとしても早期発見できるように必ず目を通して覚えておかなければならない情報です。