進まぬ日米関税交渉で日本が迫られる「悪魔のディール」…防衛費大幅増が膠着打開の取引材料に?
五里霧中の日米関税交渉の霧は一体、いつ晴れるのか。米国による「相互関税」の上乗せ分(14%)の猶予期限が7月9日に迫る中、担当の赤沢経済再生相は7回目の協議のため26日から訪米中。交渉が始まった4月16日から約10週間で7回にわたる異例の“ワシントン詣で”を重ねているが、落としどころは見えない。膠着状態を打開するため、「悪夢のディール」が浮上しはしないか。
赤沢大臣は現地時間27日、ラトニック商務長官と約1時間ほど会談。この日、トランプ大統領肝いりの減税・歳出法案の成立に向けて多忙を極めるベッセント財務長官とは会えなかった。同28日(日本時間29日)に帰国予定だったが、ベッセント氏とも協議するため滞在延長を決めた。
ラトニック氏との会談後、日本政府は「実りある議論を行った」「引き続き日米で精力的に調整を続けていく」とのコメントを発表。これまで赤沢大臣が日米協議後に繰り返してきた「非常に突っ込んだやりとりができた」「大変有意義だった」という薄口な感想と何ら代わり映えナシ。具体的な議論の進展には触れずじまいだ。
相互関税の上乗せ分を再発動する7月9日の期限が迫る中、米側は9月1日まで延期する考えを示唆している。ただ、日本が対象になるかは見通せない。特に日米交渉の最大の焦点である自動車関税の見直しを巡って、両者の溝は深いままだ。
トランプ大統領は29日、日本との自動車貿易に関して「不公平だ」と改めて不満を表明し、25%の追加関税を譲らない姿勢を示した。
赤沢大臣は5月の2回目の協議の際、自動車関税を念頭に「日本の自動車メーカーは1時間ずつ損が出ている状況であり、そういう意味で『ゆっくり急ぐ』」などと意気込んでいたが、ダラダラと停滞が長引きそうな雰囲気が漂う。