「治る見込み」を主治医にたずねると…野村邦丸さん腎臓がん手術からの生還
野村邦丸さん(ラジオパーソナリティー/68歳)=腎臓がん
腎臓がんステージ3bと診断され、腎臓を片方摘出する手術を受けたのですが、術後約2週間で仕事復帰できました。ひとえに主治医のおかげです。肉体的にも精神的にも先生の人柄に助けられました。
始まりは去年の5月ごろでした。体調がものすごく悪くて週末はいつもぐったりしていました。でも、担当番組が2時間帯から4時間帯になったので、その疲れかと思っていたのです。そしてとうとう11月に、今まで味わったことのない疲労感に襲われるようになり、同居している次女に「病院で診てもらったら?」と言われるようになりました。思えば、定年してから人間ドックを一度も受けていなかったのです。
たまたま長女が病院で医療事務の仕事をしているので相談したら、診察をしてもらえることになりました。診察を受け、胃カメラや大腸検査の日取りを決めるのだろうと思っていたのですが、横から長女が「エコーだけでも撮ってもらえば?」と助言してくれました。
すると先生が「エコーを撮るくらいならCTを撮りましょう」と言ってくださり、CT検査を行ったところ、右の腎臓の下の方に白いモヤが写っていたのです。「これ、たぶん腫瘍ですね。僕は腎臓の専門医ではないから、ちゃんと専門医に診てもらった方がいい」と、某大学病院を紹介されました。
偶然にもその大学病院には、よく行く寿司屋の常連で飲み友達の女性が事務方のベテランとして勤務していました(笑)。LINEで事情を説明して金曜日に行く旨を伝えると、「私の飲み友達の腎臓の先生が金曜日外来だから」と話をつけてくれて、飲み友つながりで主治医と巡り合うことになりました。後から知ったのですが、この先生、じつは腎臓移植の名医だったのです。
長女が勤める病院で撮ったCT画像を見てもらうと、その先生はサラッと「これは腎臓がんです。だいたいそうだな、ステージ3のbかな」と世間話のようなトーンでおっしゃいました。がんの告知だというのにガーンとくる間もなくて、むしろ「え? そんなにあっさり言っちゃう?」というそっちの驚きがありました。恐る恐る「治る見込みはありますか?」と問うと、これもまたいとも簡単に「治りますよ」と返ってきました。
一昔前に比べると薬が飛躍的に良くなっているそうで、小冊子を渡されて説明を受け、毎日飲む抗がん剤の服用と1カ月半に1回約30分の点滴を3~4回することになりました。最終的に右の腎臓は全摘出手術するしかないのですが、まずは病巣を小さくし、内視鏡で手術の負担を軽くするのだそうです。
手術は4月末に行うことになり、それまでは通院治療になりました。副作用についても「一昔前に比べるとダメージは少ない」と言われた通り、自分は体のかゆみと声がれぐらいでした。声がれは仕事柄厳しくはありましたが、手術までは病気を公表せずにレギュラーを続けることができました。何よりがんによる炎症反応の数値がみるみる改善していくので、気持ちがとても楽でした。
手術当日は朝8時に妻と娘2人に見送られ、手術室へ入りました。麻酔の注射をされて「お名前言ってください」といわれたので答えたら、ものの5秒ぐらいで記憶がなくなり、気づいたら終わっていました。2時間ぐらいだったようです。
その日はさすがに傷口が痛くて寝返りも看護師さんにお願いしましたが、翌日には院内を歩いて回復に努めました。