「エステルの手紙教室」セシル・ピヴォ著 田中裕子訳
「エステルの手紙教室」セシル・ピヴォ著 田中裕子訳
フランスのリールで書店を経営しているエステルは亡くなった父を偲んで、「手紙の書き方講座」を開くことにした。
参加者の文章力を上げることが目的だったのに、新聞の募集広告に応募してきた人たちにとって、講座は「救命浮き輪」だった。
パリ在住の精神科医から奇妙な問い合わせがきた。産後うつに苦しみ、夫と娘を置いて家を出たいと望む女性とその夫を参加させてほしいというのだ。
エステル自身も父を亡くして落ち込んでいたが、ほかの参加者も、孤独な老婦人、進路に悩む青年、仕事にやりがいを感じられないビジネスマンと、悩める人ばかり……。
手紙のやりとりを通じて物語が展開するユニークな小説。
(講談社 2420円)