著者のコラム一覧
細田昌志ノンフィクション作家

1971年、岡山市生まれ、鳥取市育ち。CS放送「サムライTV」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。7月に「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」(新潮社)が、第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。

駒沢公園で山口洋子の車椅子を押す野口修…晩年の老老介護

公開日: 更新日:

 拙著「沢村忠に真空を飛ばせた男/昭和のプロモーター・野口修評伝」(新潮社)の著述において、当然のことだが主人公の野口修に綿密な取材を行った。

 2010年3月の開始当初は、ノンフィクションというよりインタビュー形式の体裁をとろうと考えていた。証言を中心にまとめることでさしたる検証を必要としない、その上コストもかからず時間も短縮できる。当世、多くのインタビュー本が巷にあふれるのは、主にこういった事情によるものとみていい。

 当の野口修は多くの質問に口をつぐんだ。思い出したくもない過去を進んで話す人はいない。気持ちは分かるのだが、それでは書籍にならない。そもそも版元すら決まっていない見切り発車だった。筆者自身著名ではないし、これといった実績もない。野口修もかつては天下を制したプロモーターだったが、世間から完全に忘れ去られていた。無名の著者と忘却のかなたにいる主人公にとって現代の出版不況は二重三重のハンディとしてのし掛かった。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  2. 2

    ヤクルト「FA東浜巨獲得」に現実味 村上宗隆の譲渡金10億円を原資に課題の先発補強

  3. 3

    どこよりも早い2026年国内女子ゴルフ大予想 女王候補5人の前に立ちはだかるのはこの選手

  4. 4

    「五十年目の俺たちの旅」最新映画が公開 “オメダ“役の田中健を直撃 「これで終わってもいいと思えるくらいの作品」

  5. 5

    「M-1グランプリ2025」超ダークホースの「たくろう」が初の決勝進出で圧勝したワケ

  1. 6

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  2. 7

    福原愛が再婚&オメデタも世論は冷ややか…再燃する「W不倫疑惑」と略奪愛報道の“後始末”

  3. 8

    早大が全国高校駅伝「花の1区」逸材乱獲 日本人最高記録を大幅更新の増子陽太まで

  4. 9

    匂わせか、偶然か…Travis Japan松田元太と前田敦子の《お揃い》疑惑にファンがザワつく微妙なワケ

  5. 10

    官邸幹部「核保有」発言不問の不気味な“魂胆” 高市政権の姑息な軍国化は年明けに暴走する