著者のコラム一覧
大高宏雄映画ジャーナリスト

1954年浜松市生まれ。明治大学文学部仏文科卒業後、(株)文化通信社に入社。同社特別編集委員、映画ジャーナリストとして、現在に至る。1992年からは独立系を中心とした邦画を賞揚する日プロ大賞(日本映画プロフェッショナル大賞)を発足し、主宰する。著書は「昭和の女優 官能・エロ映画の時代」(鹿砦社)など。

大手のTOHOシネマズが「レディースデイ廃止」に踏み切った! 各社の動き、割引日は減る?

公開日: 更新日:

 国内最大手の興行会社であるTOHOシネマズは、長年親しまれてきた映画館の割引サービス「レディースデイ」を、7月7日をもって終了した。レディースデイは女性のみの割引サービス(1200円)で、同社系列のシネコンは毎週水曜日が実施日であった。

 終了に至った背景には多様性ある社会を認めるジェンダーレスの広がり、浸透があるとみられる。レディースデイは性別によって映画の入場料金が割引となるため見直した、ということらしい。

 ただ割引自体がなくなるわけではない。これまで同社は毎月14日、年齢性別問わず誰でも1200円(高校生以下は1000円)で見られる「TOHOシネマズデイ」を実施してきた。この割引サービスを毎水曜日に移行し(「TOHOウェンズデイ」に名称変更)、同様に1200円で見られるようにする。つまり、水曜日は女性に加えて男性も割引となるのである。新サービスは7月14日から始まる。

■競合他社関係者の反応は…

 この新割引サービスに対して、背景はともかくとして、映画業界ではさまざまな意見が飛び交っている。ある中堅配給会社の営業責任者は、「観客の掘り起こしになるのではないか」と好意的だ。映画を比較的多く見る人の立場からすると、「これまで見ようと思っても控えていた作品があったとすると、安い料金の日が多くなることで、より映画館に行く機会が増えるのではないか」と話す。月1回の鑑賞が、2回、3回になる可能性があるというのだ。

 映画のヘビーユーザー、ミドルユーザーの動きが、多少なりとも活発化することで、「たとえ割引の機会が増えても動員で前日比120%、130%と増えていけば、収益面も大きなダメージにならないのでは」とも続けた。これを機会に、映画により関心を持つ人も増えてくるかもしれない。

 これに対して、洋画の大手配給会社の幹部は反対ではないとしながらも、「毎月1日のファーストデイ含め、水曜日も入れると基本的には月5回の大きな割引となる。水曜日の前後、火曜日や木曜日といった日には動員が下がっていくことも考えられる。トータルとして見るとどうだろうか」と少し疑問をはさむ。「そもそも割引の在り方も、いろいろなやり方がある」とし、「日本では定着しなかったが、『午前中の割引設定』を今一度検討してもいいのではないか。曜日で設定するのではなく、毎日午前中の割引にすることで1日ごとの動員をバランス良くし、トータル動員数を上げていく」。これは曜日設定の縦軸ではなく、毎日の横軸的な割引設定の浸透のことである。

結果的に映画鑑賞の機会は増える?

 映画を送り出す側は当然ながら収益を考えるが、観客側からしたら割引デイの増加はうれしいことだろう。TOHOシネマズのシネコンでは、水曜日に劇場を訪れる人が増えていくのは間違いない。とくに2人、3人連れの観客が行きやすくなると考えられる。

 もともとレディースデイが楽しみでシネコンに行くという女性は非常に多い。そういった向きは観客が増えることに対して、どう反応するか。混み合うかもしれないから、ちょっと避けようとするのか。はたまたこれまでどおりなのか。現段階ではその見通しはつかないが、やはり安さが優先される気はする。

 TOHOシネマズ以外の興行会社では、都内・池袋をはじめとして多くのシネコンを展開する佐々木興業も、TOHOシネマズより1週間早くレディースデイを終了させ、7月7日(毎水曜日)から誰もが割引となるサービスを始めた。数年前にレディースデイをやめているイオンエンターテイメントは、毎月曜日(水曜日の地域もある)が割引デイだ(同1100円)。ミニシアターの多くは以前からレディースデイは実施していないが、他のシネコンの対応はこれからだろう。では、夫婦50割引(TOHOシネマズは7月13日をもって終了)や男性のみ対象のメンズデイ(終了したシネコンもあるが)など他の割引はどうなるのか。

 これからいろいろな動きが出てくるものと思われる。いずれにしろ、割引日をいかに活用するかは観客それぞれだ。多くの人にとって、少しでも映画を見る機会が増えていくことを望みたい。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    萩本欽一(11)ひとりぼっち寂しく貧乏飯を食べながら「先生も同級生もバカだな」と思うことにした

  2. 2

    不慮の事故で四肢が完全麻痺…BARBEE BOYSのKONTAが日刊ゲンダイに語っていた歌、家族、うつ病との闘病

  3. 3

    嵐が去る前に思い出す…あの頃の「松本潤」と「大野智」

  4. 4

    視聴率の取れない枠にハマった和久田麻由子アナの不運 与えられているのは「誰でもできる役割」のみ

  5. 5

    2度目の離婚に踏み切った吉川ひなの壮絶半生…最初の夫IZAMとは"ままごと婚"と揶揄され「宗教2世」も告白

  1. 6

    あのちゃん追い風だった女優業に暗雲の炎上!「嫌いな芸能人」発言で反撃される痛恨

  2. 7

    出口夏希の“男選び”がもたらす影響…伊藤健太郎との熱愛報道と旧ジャニファンが落ち込む意外

  3. 8

    伊藤健太郎とキンプリ永瀬廉で明暗クッキリ…「熱愛報道」出口夏希の足を引っ張りかねない“イメージ格差”

  4. 9

    仲間由紀恵46歳の“激変ふっくら姿”にネット騒然も…紆余曲折を経てたどり着いた現在地

  5. 10

    初期ビートルズの代名詞のような2曲の、まるっきり新しかったポップさ、キュートさ、叫びっぷり

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    2度目の離婚に踏み切った吉川ひなの壮絶半生…最初の夫IZAMとは"ままごと婚"と揶揄され「宗教2世」も告白

  2. 2

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  3. 3

    嶋基宏は一時期ノイローゼ状態になっていた...心ここにあらずで、魂が抜けた状態に

  4. 4

    伊藤健太郎とキンプリ永瀬廉で明暗クッキリ…「熱愛報道」出口夏希の足を引っ張りかねない“イメージ格差”

  5. 5

    なぜ「愛子天皇」ではダメなのか? 美智子さまが心情を吐露する出版物を準備中…と政界で話題

  1. 6

    嵐が去る前に思い出す…あの頃の「松本潤」と「大野智」

  2. 7

    視聴率の取れない枠にハマった和久田麻由子アナの不運 与えられているのは「誰でもできる役割」のみ

  3. 8

    不慮の事故で四肢が完全麻痺…BARBEE BOYSのKONTAが日刊ゲンダイに語っていた歌、家族、うつ病との闘病

  4. 9

    居酒屋倒産が過去最多ペース 客離れの背景にある「飲み放題5000円」の壁

  5. 10

    巨人“育成の星”のアクシデントに阿部監督は顔面硬直、原辰徳氏は絶句…桑田真澄氏の懸念が現実に