著者のコラム一覧
吉田隆記者、ジャーナリスト

1984年に写真週刊誌「FRIDAY」の創刊準備メンバーとして専属記者契約を結ぶ。87年の大韓航空機爆破事件では、犯人の金賢姫たちが隠れていたブダペストのアジトを特定、世界的に話題となる。初代「張り込み班チーフ」として、みのもんたや落合博満の不倫現場、市川染五郎(現・松本幸四郎)や石原慎太郎の隠し子、小渕恵三首相のドコモ株疑惑などジャンルを問わずスクープ記者として活躍。

<28>「写真はNGです」早貴被告は構えるカメラに舌打ちした

公開日: 更新日:

 2017年12月10日、須藤早貴被告は1人で野崎幸助さんに会いに来た。和歌山県田辺市にあるドン・ファンの自宅のリビングでは、番頭役のマコやんが甲斐甲斐しくワインやビールなどをテーブルに並べたり、お寿司の皿や醤油などを運んだりしていた。

「あなたがワインが好きだというので、準備をしていたんですよ」

 ドン・ファンがにこやかに声をかけたが、早貴被告は戸惑いの表情を浮かべるだけで、お礼の言葉すら出なかった。

「モデルさんなんですって? どこの媒体なんですか」

「ViVi」とか「With」や「CanCam」のような名の知れたファッション雑誌に出ているとは思っていなかったが、空気を変える意味もあって私が聞いた。

「日本ではなくて、中国や中東でのファッションショーに出ているんです」

「中東?」

「ドバイなどに行きますよ」

「へえ、そうですか。そりゃあ凄いですね」

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