物価高ニッポン(1)起こるべくして起きたインフレ「インフレの時代」渡辺努著

公開日: 更新日:

 いきなりのインフレで家計は火の車。しかし世間にはインフレ歓迎の議論もある。

  ◇  ◇  ◇

「インフレの時代」渡辺努著

 長年のデフレで苦しんだ日本にインフレの大雨が降り始めている。果たして、これでいいのか──。誰もが抱く不安だろうが、東大名誉教授の著者は「インフレは日本にとって前向きな変化である」と言い切る。

 著者によればインフレは「起こるべくして起きた」変化だ。1990年代、日銀に勤務していた著者はIMF(国際通貨基金)が進める中央銀行制度改革のプロジェクトで海外を頻繁に訪ねていた。それはグローバル化の推進であったが、いま振り返ると賃金と物価に強い下押し圧力がかかり、外国からの安い輸入品に勝てなくなったアメリカの国内産業では失業が相次いで経済格差が広がった。これがトランプ登場と高関税政策という帰結につながったのだ。

 日本では労働者の賃金を極力抑えることで中国企業に対抗するという独自のやり方を選んだが、賃金据え置きが当たり前になった結果、購買力は伸びず企業は価格を上げられない。つまり慢性デフレという病に陥った。こうしたグローバル化の負の局面を脱出するのが今回のインフレ。そう著者は見る。

 懸念のひとつは物価上昇に賃上げが追い付かず、実質賃金が低下すること。しかし著者は「深刻とは考えていない」ときっぱり。時間がたてば改善すると楽観的だ。果たしてそうか? かえって深い懸念を抱く読者も少なくないかもしれない。

(中央公論新社 1320円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    三山凌輝「ダブル不倫報道」炸裂…またぞろ女性スキャンダルでチラつく「離婚」と水谷ファミリーの心中

  2. 2

    江口洋介&松嶋菜々子「救命病棟24時」好調の陰で…趣里の元カレ39歳俳優が掴んだ再起のチャンス

  3. 3

    声優・講談師の麻上洋子(一龍斎春水)さん 童謡詩人・金子みすゞの伝承イベントをライフワークに

  4. 4

    高市内閣「辞任レース」次にゴールを切る3候補 農相の後釜は早くも週刊誌がマーク

  5. 5

    自民推薦の「軽い神輿」が“ゼロ打ち”圧勝 横浜新市長の政策語らぬ素人っぷりに漂う不安

  1. 6

    寺脇康文→及川光博「相棒25」“途中交代”にフィナーレの予感… 歴代相棒集結を望むファンの期待と寂しさ

  2. 7

    夫・三山凌輝の《高額BBQ》が物議…“離婚説”くすぶる趣里が来年3月まで動かない根拠と胸中

  3. 8

    マイナンバー「1兆円利権」山分け 制度設計7社と天下り官僚

  4. 9

    日テレ河村亮アナと菅谷大介アナは50代で死去…「俺たちの箱根駅伝」放送開始で改めて追悼の声

  5. 10

    バナナマン日村が簡単に復帰できそうにない「もう1つの理由」…レギュラー11本抱える人気者のジレンマ

おすすめ求人情報

「省力化による他と違う働きやすさ」企業養豚での生産部門
上原ファーム株式会社 宮崎県 都城市 正社員
月給20万円~30万円
工場の施設警備/業界大手ALSOKグループ/賞与有前年度4カ月分以上
ALSOK宮城株式会社 宮城県 大和町 正社員
月給18万9,400円~25万3,000円
大手半導体受託メーカーでの点検・メンテナンス/寮・社宅あり/引越代補助あり
タワーパートナーズセミコンダクター株式会社・魚津工場 富山県 魚津市 正社員
月給21万8,000円~32万円
Sponsored by 求人ボックス