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鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

トランプ大統領が米球宴で始球式か…建国250周年を利用した“存在感誇示”の思惑

公開日: 更新日:

 7月4日、米国が建国250周年を迎えた。

 建国250周年は1976年の200周年以来となる、国家的な節目の年となった。

 50年前は、首都ワシントンDCの国立公文書館で展示された独立宣言の原本を見るため、多くの米国民が列を作り、7月4日の夜には当時の大統領であったジェラルド・フォードが夫人のベティとともにホワイトハウスで記念の花火大会を鑑賞した。

 このとき打ち上げられたのは当時としては異例の多さであった3万3000発の花火であり、ワシントン記念塔の付近には30分の花火大会を見るために約100万人が集まった。あるいは、英国女王エリザベス2世と王配フィリップが米国を公式訪問し、両国の変わらぬ友好関係を確認し合った。

 スポーツ界も記念の年を祝うために協力した。

 例えば、NHL、NBA、大リーグが、独立宣言が署名されたフィラデルフィアでオールスター戦を開催した。あるいは、この年の1月に開催されたNFLのスーパーボウルでは、対戦したピッツバーグ・スティーラーズとダラス・カウボーイズが「アメリカ独立革命200周年 1776-1976」と書かれたワッペンを付けて試合に臨んでいる。

 それでは、今年はどうか。

 大リーグは、7月4日の試合において、全球団が星条旗をあしらった背番号を付けたユニホームと、米国を象徴する色である赤、白、青を用いた帽子を着用した。ユニホームの上着の袖と帽子の側面には、「USA 250」と記されたワッペンが付けられた。

 また、大リーグのオールスター戦は、50年前の例に倣い、フィラデルフィアのシチズンズバンクパークで開催される。

 これに加えて、第1次政権時代はスポーツ界から距離を置いていた大統領のドナルド・トランプは、2025年1月に第2次政権を発足させてから、スポーツ界への関与を深めている。

 そして、今年6月には、ホワイトハウスの庭園サウスローンで総合格闘技団体UFCが開催した「UFCフリーダム250」や、ニューヨーク・ニックス対サンアントニオ・スパーズの間で行われたNBAファイナルの第3戦を観戦した。

 一連の動きは、建国250周年を自らの存在感の誇示に利用するトランプの思惑をよく示す。

 こうなると、第1次政権を含め、これまで始球式を行っていないトランプが、フォードのようにオールスター戦で始球式を行う可能性が高まる。

 果たして、トランプはグラウンドに降りたヘリコプターから登場し、「USA、USA」という歓声に満足そうな笑みを浮かべつつマウンドに立つのか否か。

 7月14日のオールスター戦が注目される。

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