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てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。最新著「王者の挑戦『少年ジャンプ+』の10年戦記」(集英社)、伝説のテレビ演出家・菅原正豊氏が初めて明かした番組制作の裏側と哲学をまとめた著者構成の「『深夜』の美学」(大和書房)が、それぞれ絶賛発売中!

自身の呪いを解くために費やした DJ松永の4年間に及んだ世界一への挑戦

公開日: 更新日:

 やがて地元・新潟のクラブDJとして活動。当時、世界最大のDJ大会「DMC」に同郷のDJが出たため、見に行って、その技術の高さに衝撃を受けた。「独学では越えられない大きな壁」を感じた松永は、本格的にDJ技術を学ぶようになっていった(リクルート「SUUMOタウン」2021年3月18日)。

 新潟のクラブDJだけでは食べていけなかった松永は上京。しばらくは東京に馴染めず2~3カ月に1度、ノーギャラのイベントに呼ばれる程度で、ただバイトに明け暮れるだけという生活が続いた。

 転機となったのはR-指定と組んだこと。その頃からR-指定は「神童」などと呼ばれ、既に一目を置かれた存在。組んだ時点で「格差」があった。R-指定はDJとしての松永を尊重してくれるが、周りはそうではない。

「自分自身の余裕のなさ、心の狭さで、フラストレーションが溜まることが正直かなりあった」(blueprint「Real Sound」20年11月19日)

「3連覇のR-指定」に対し、自分は「ただの松永」。そんな「呪い」を解くために一度は挫折した「DMC」に挑戦した。2016年、これまでの経験の全てを注ぎ込んで臨むも、結果は2位。Creepy Nutsの活動が軌道に乗った翌年も3位。松永はひとりドン底だった。それでも挑み続けて19年、ついに日本一に。そのまま、世界の頂点に立った。

 今では「呪い」は解け、「R-指定に仕事がくるのはもちろん昔からうれしかったんですけど、今はさらにピュアに、R-指定が評価されることに対して喜びを感じるように」(同前)なった。高め合う2人には「のびしろ」しかない。

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