著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

パドレス39億ドル売却が示すMLBの現在地 球団経営は“個人オーナー”から投資家グループの“先物取引”へ

公開日: 更新日:

 2026年の開幕時点で米国の株式市場の上場企業が球団を所有しているのは、30球団の中でもブレーブスとブルージェイズのみである。

 ドジャースのマーク・ウォルターやメッツのスティーブ・コーエン、あるいはヤンキースはスタインブレナー家、カブスのリケッツ家のように、しばしば球団経営者として個人や一家の名前が挙げられる。

 だが、こうした状況は、大リーグの経営の中心が個人や家族にあることを意味しない。むしろ、2002年にジョン・ヘンリーが投資家グループを結成してレッドソックスを買収したことが象徴するように、21世紀に入ってからの大リーグでは、個人や家族が所有する球団は少数派となり、多くが投資家グループによって運営されている。

 その結果、球界では球団への投資の拡大、それによる球団の価値の上昇、投資家グループの存在感のさらなる向上が進んでいる。

 球団を保有するだけでは利益は生まれない。優れた成績を残すことで、はじめて観客動員数の増加や放映権の高値での販売が可能となる。そのためには一方で優秀な選手を獲得し、他方で球場の施設の拡充を図る必要がある。こうした投資は短期的な利益の向上とともに球団の価値そのものの上昇ももたらしている。

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