介入プログラムで不幸なペットと飼い主を支援「保護犬の運命を変えた女性」キャロル・ミザーズ著 高里ひろ訳

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「保護犬の運命を変えた女性」キャロル・ミザーズ著 高里ひろ訳

 ロリ・ワイズはモデルのように長身でスリム、赤毛で肌が真っ白い。元闘犬だった傷だらけのピットブルを従えている。麻薬や暴力がはびこるロサンゼルスの貧困地区ではかなり目立つ存在だ。彼女は30年にわたって独自の動物保護活動を続け、「ドッグレディ」として知られている。同じくロスを拠点とするジャーナリストがロリに密着取材して書いたこのノンフィクションは、かわいそうな犬猫を救って里親に届け、めでたしめでたしで終わる単純な話ではない。

 2012年、著者が初めてロリに会ったころ、アメリカではノーキル(殺処分ゼロ)運動が盛んで、飼い主は自分のペットが保護犬、保護猫であることを誇りに感じていた。里親になるためには、動物保護団体の厳しい資格審査を受ける必要があった。今の日本によく似ている。

 ペットを捨てるようなひどい人間に動物を飼う資格はない。保護団体もボランティアもそう考えていたが、ロリは違った。ロリが立ち上げたダウンタウン・ドッグ・レスキュー(DDR)は、動物と人間を両方とも支援する。

 シェルター(日本の保健所)が犬猫でいっぱいなのは、悪い飼い主が多いからではないと、ロリは考えていた。貧困が飼い主とペットを引き裂く悲しい事例を、ロリはいやになるほど見てきたからだ。不幸なペットと飼い主を減らすために、DDRは「介入プログラム」を実施している。ペットを持ち込もうとシェルターに並ぶ飼い主に、スタッフが声をかける。〈どんな支援があれば思いとどまれるか〉を聞き出し、必要な支援を提供する。不妊去勢手術の無料チケット、獣医師の治療費割引クーポン。ペット可の安い賃貸物件を探し、壊れたフェンスの修繕もする。

「犬を去勢してホームレスの飼い主に戻すなんて!」と、大きな保護団体はロリを異端視した。だが、貧富の差や人種に関係なく、動物と人間の絆は存在する。ペットの苦しみは、多くの場合、飼い主の苦しみと結びついている。動物ファーストの保護活動は、そこを見逃しているのではないかと、本作は問いかけている。

(青土社 3740円)

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