追悼・松鶴家千とせさん 糟糠の妻の支えで克服した「対人恐怖症」

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 芸能界を生き抜いていくには、優しすぎたのかもしれない。

 七〇年代半ば、安来節の幕あいで漫才をしていた松鶴家千とせは突然、人気者になった。

■「“イェーイ、わかるかな? わかんねぇだろうな”って」

「安来節ってね、赤い腰巻き巻いてお姉さんが五、六人ずつ、パッパッパッて、おしりを振って踊るんだ。その後でぼくが出たら、お客さんがさーっといなくなる。トイレアワー。ションベンしにいったり、たばこを吸いに行ったり。誰もいないところで二〇分近く漫談をやるわけです。そうやって出ていくお客さんを引き留めて、寝ているお客さんを起こすために、“イェーイ”ってやったんです」

 千とせは両手でピースサインして、前後に大きく動かした。

「“イェーイ、わかるかな? わかんねぇだろうな”って」

 踊り子の色気目当ての客から注目を集めるためのやけくその言葉が受けた。

 七五年に発売されたシングルレコード「わかんねェだろうナ」は百六十万枚を超えるヒット曲となった。テレビ番組のレギュラーの他、二〇本以上のテレビコマーシャルに起用された。

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