追悼・松鶴家千とせさん 糟糠の妻の支えで克服した「対人恐怖症」

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 二〇一六年にぼくが彼の自宅で取材したとき、彼女は人工透析を受けて、寝たきりの生活だった。治る見込みはないのだと、顔をくしゃくしゃにして言った。

「歩けないだけで頭ははっきりしているんです、ネタの練習していると“しつこいよ、理屈っぽいよ”と言うんです。世の中、うまくできているんだねぇ。奥さんがぼくのことをずっと支えてくれていた。今度は自分がやるしかない」

 先日、千とせは妻の後を追うことになった。向こうの世界でも二人は支え合っていることだろう。

▽田崎健太(たざき・けんた)1968年、京都市生まれ。ノンフィクション作家。早大卒業後、小学館入社。「週刊ポスト」編集部などを経て、99年末に退社。著書に「W杯に群がる男たち―巨大サッカービジネスの闇―」(新潮文庫)、「偶然完全 勝新太郎伝」(講談社+α文庫)、「真説・長州力 1951-2018」(集英社文庫)、「電通とFIFA」(光文社新書)、「真説・佐山サトル」(集英社インターナショナル)、「ドラガイ」(カンゼン)、「全身芸人」(太田出版)など多数。

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