奥田瑛二さん「天職は映画監督、適職が俳優」「懸案の2作品を撮りたい」

公開日: 更新日:

 俳優、監督、画家として幅広く活躍している奥田瑛二さん。9月にバラエティー番組「プレバト!!」で人気の俳人、夏井いつきさんとの共著「よもだ俳人子規の艶」(朝日新書)を上梓し、さらなる多才ぶりが話題である。これからやりたいことはたくさんある。

 ◇  ◇  ◇

 ――9月に終了した朝ドラ「らんまん」に出演し、元火消しで石版印刷所の工場主を演じて注目された。

「らんまん」は、熊井啓監督や神代辰巳監督の映画に出た時以来の時間をかけて役作りをした作品だったかも知れません。他のドラマでものめり込んだのはありますが、朝ドラというカテゴリーを考えながら思う存分、人物を表現し発揮できたと思います。

 元火消しで石版印刷所の主という設定です。2つの役柄を作る手間、体に染み込ませる時間が必要でした。最初は苦しかったですね。

 石版印刷は幸いにも僕は絵を描くし、フランスで石版印刷の経験もしていた。絵を描く時は今もドラマの中と同じ細い筆を使っています。ですから、主役の神木隆之介君が描いている時も僕は心配する目線ではなく、当たり前のように見ることができた。石版印刷に対する情熱や目線、志は自分の中にもあったし、勉強しなくてもよかったのは大きかったですね。

 火消しは江戸っ子で男気を出すということ。その中に優しさもあり、かみさんへの愛情、夫婦愛もある。そういう役作りが楽しく僕にとっては冒険でした。

 そして火消しをやっていたのに、明治維新になって印刷所の主になるという、変わっていく感覚を体の中に覚えさせました。もちろん監督はいましたが、話し合って好きにやらせていただけてああいうキャラクターを作ることができた。うれしかったですね。

 役者としては演じたことのない役がなくなってくるほど、いろいろやってきました。やってみたいのは宮本武蔵が1ミリも動けず刀も抜けなかった相手、柳生十兵衛の祖父にあたる石舟斎ですね。例えていうなら、三船敏郎さんと笠智衆さんが溶けたみたいな人です。

 笠さんがグレーの無地の浴衣を着て青いアジサイを一輪、右手に持って垂らしている。たったそれだけの写真ですが、それがすごかった。その笠さんの姿と「椿三十郎」の三船さんが合体する。想像もつきませんね。それに志村喬さんのどっしりしたところも重なったりしたら、まさにとんでもなく美しい怪物だと思います。そういう手に入れられないもの、志とか夢をはるかに超えた向こうにあるもの、それが僕の理想です。そういう俳優がいたら監督してみたくなるし、自分でも演じることができたら……と思ってしまいます。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    周囲にバカにされても…アンガールズ山根が無理にテレビに出たがらない理由

  2. 2

    中森明菜が16年ぶりライブ復活! “昭和最高の歌姫”がSNSに飛び交う「別人説」を一蹴する日

  3. 3

    永野芽郁「キャスター」視聴率2ケタ陥落危機、炎上はTBSへ飛び火…韓国人俳優も主演もとんだトバッチリ

  4. 4

    永野芽郁“二股不倫”疑惑「母親」を理由に苦しい釈明…田中圭とベッタリ写真で清純派路線に限界

  5. 5

    田中圭“まさかの二股"永野芽郁の裏切りにショック?…「第2の東出昌大」で払う不倫のツケ

  1. 6

    永野芽郁「二股不倫」報道で…《江頭で泣いてたとか怖すぎ》の声噴出 以前紹介された趣味はハーレーなどワイルド系

  2. 7

    永野芽郁“二股肉食不倫”の代償は20億円…田中圭を転がすオヤジキラーぶりにスポンサーの反応は?

  3. 8

    田中圭が『悪者』で永野芽郁“二股不倫”騒動はおしまいか? 家族を裏切った重い代償

  4. 9

    永野芽郁「二股不倫報道」の波紋…ベッキー&唐田えりかと同じ道をたどってしまうのか?

  5. 10

    永野芽郁は疑惑晴れずも日曜劇場「キャスター」降板回避か…田中圭・妻の出方次第という見方も

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    佐々木朗希「スライダー頼み」に限界迫る…ドジャースが見込んだフォークと速球は使い物にならず

  2. 2

    永野芽郁「キャスター」視聴率2ケタ陥落危機、炎上はTBSへ飛び火…韓国人俳優も主演もとんだトバッチリ

  3. 3

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  4. 4

    風そよぐ三浦半島 海辺散歩で「釣る」「食べる」「買う」

  5. 5

    広島・大瀬良は仰天「教えていいって言ってない!」…巨人・戸郷との“球種交換”まさかの顛末

  1. 6

    広島新井監督を悩ます小園海斗のジレンマ…打撃がいいから外せない。でも守るところがない

  2. 7

    インドの高校生3人組が電気不要の冷蔵庫を発明! 世界的な環境賞受賞の快挙

  3. 8

    令和ロマンくるまは契約解除、ダウンタウンは配信開始…吉本興業の“二枚舌”に批判殺到

  4. 9

    “マジシャン”佐々木朗希がド軍ナインから見放される日…「自己チュー」再発には要注意

  5. 10

    永野芽郁「二股不倫」報道でも活動自粛&会見なし“強行突破”作戦の行方…カギを握るのは外資企業か