「理系の読み方」大滝瓶太著

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「理系の読み方」大滝瓶太著

 京大大学院工学研究科の院生だった頃、カフカの「変身」を初めて読んで、著者は「なんだか分子シミュレーションみたいな小説だな」と思った。

「平凡な青年がある日突然虫になる」のは、日常と比べて「強い非平衡状態」である。虫になったグレーゴルが家族と「衝突」し、最終的に家族はグレーゴルの不在という新たな形の日常(平衡状態)を手に入れる。言い換えれば、この小説は「強い非平衡状態から無数の衝突を経て平衡状態に遷移する」という緩和現象そのままに進行しているのだ。(「小説を『解く』」)

 ほかに、「小説を『近似』する」など、理系らしいアプローチで小説を読み解く。 (誠文堂新光社 1980円)


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