著者のコラム一覧
スージー鈴木音楽評論家

1966年、大阪府東大阪市生まれ。昭和歌謡から最新ヒット曲まで幅広いジャンルの楽曲を、社会的な視点からも読み解く。主な著者に「中森明菜の音楽1982-1991」「大人のブルーハーツ」「日本ポップス史 1966-2023」など。半自伝的小説「弱い者らが夕暮れて、さらに弱い者たたきよる」も話題に。日刊ゲンダイの好評連載をまとめた「沢田研二の音楽を聴く1980-1985」、最新刊「日本の新しい音楽1975~」は大好評。ラジオDJとしても活躍。

ジャケットの顔面面積とリンクするジョン・レノン色の強さ

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アルバム『ウィズ・ザ・ビートルズ』(1963年11月22日)①

 これまで紹介してきたアルバム『プリーズ・プリーズ・ミー』は、イギリスで売れに売れることとなる。

 ヒットチャート(メロディーメーカー)で1963年5月に1位となり、そこから何と30週も1位に居座り続ける。

 要するに、70年代の日本における井上陽水(この人も大のビートルズ好き)『氷の世界』のような無双状態になったのだ。

 ただ『氷の世界』は通算35回1位になったが、カーペンターズやかぐや姫に奪われて何度か陥落し、何度も復活している(それはそれですごいが)。対して『プリーズ~』は30週「連続」の1位なのだ。

 さらにすごいのは、その『プリーズ~』を押しのけて1位となるのが、今日からご紹介するセカンドアルバム『ウィズ・ザ・ビートルズ』だということ。まぁ大変。

 このアルバムといえば、このジャケット。以降、ビートルズのジャケットは名作揃い。特にイギリス発のオリジナルアルバムについては、駄作一つもなし。本当に。

 というジャケットをよく見つめてほしい。ジョンの顔がいちばん大きくデザインされている。そう、このアルバムは、顔の大きさの通り、ジョンの色がとても強いアルバムである。

 ジョンがリードボーカルを担当するのが6曲なのに比べ、ポールはたった3曲で、これは何とジョージと同じという少なさ(残りはリンゴ1曲と、ジョン&ポール1曲)。つまりは「ジョン・レノン・ウィズ・ザ・ビートルズ」の趣さえある。

 深読みかも知れないが、このような事実と、ジャケットにおける顔面面積比率は、どうもリンクしているように感じるのだけれど。

 あと、個人的には「何だかガチャガチャした音のアルバム」。前作の経験を経て、音楽的に少し成熟して、さまざまなアイデアや実験を試み始めるのだが、それらが未整理で、とっ散らかっている。

 そんなガチャガチャした舞台の上で、ジョン・レノンがシャウトしまくるアルバムという印象が強いのだ。

 ジャケット話に戻ると、さすがに完成度が高いと思われたのだろう、翌年(ほぼ)同じジャケットを使ったアルバムが(実質的)デビューアルバムとして、アメリカと日本で発売される(収録曲は『ウィズ~』と異なる)。アメリカ盤のタイトルは有名な『ミート・ザ・ビートルズ』なのだが、日本版のタイトルがいい。いまにも人気が爆発しそうな感じが漂ってくるではないか。その名も──『ビートルズ!』。

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