高嶋哲夫(作家)

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3月×日 連日、マスコミは高市政権の動向を報じている。新政権が誕生するたび、僕たちは期待と不安のはざまで揺れる。教育無償化や消費税廃止、減税といった政策は注目を集めるが、いま日本に求められているのは、そうした個別施策を超えた「国家の形」ではないだろうか。理念や標語ではなく、人口減少、東京一極集中、地方衰退といった構造問題をどう克服するかという、具体的な未来図である。その問いに対する1つの答えとして、かつて「首都崩壊」(幻冬舎 1870円)を書いた。日本の新しい形を模索した本だ。

 5年前の総裁選で、高市氏が「核融合」という言葉を口にしたとき、強い懐かしさを覚えた。太陽と同じ反応で莫大なエネルギーを生み、燃料はほぼ無尽蔵、二酸化炭素を出さない。実現すれば人類のエネルギー問題を一変させる夢の技術だ。僕が大学時代、就職した日本原子力研究所で、関わってきたテーマだ。以来、40年以上、「生きている間には実現しない」と思い続けてきた。

3月×日 竹林篤実著「世界のエネルギー問題を解決する核融合発電」(栗原研一監修 ビジネス教育出版社 2200円)。先月買った本だが、時間があるとパラパラとめくっている。昨年1月、「30年代初頭に商用炉が送電開始」「出力約40万キロワット」「20億ドル以上の資金調達」という新聞報道に触れ、衝撃を受けた。すでにアメリカで建設が始まっているという。世界ではスタートアップ企業が次々と誕生し、民間資本も本格的に動き出している。

 世界では国際熱核融合実験炉(ITER)建設が行われている。日本、アメリカ、EUが中心になりフランスに建設中の世界最大の国際プロジェクトだ。それすらまだ、実験炉の段階だ。

 石油や天然ガス等、化石燃料ほぼゼロの日本にとって、核融合は単なる発電技術ではない。日本だけでなく、世界を変えるイノベーションだ。核融合が実現する社会とはどのようなものか。その恩恵と課題は何か。国家、世界はどこへ向かうのか。1年をかけて取材し、核融合の現状を調べた。今月、新書「核融合発電で世界はこう変わる」(PHP研究所 1155円)を出版する。

【連載】週間読書日記

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