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「王国崩壊・自民党」朝日新聞政治部著

 自己都合解散で隠そうと必死だったが、自民党の劣化と凋落は歴然だ。

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「王国崩壊・自民党」朝日新聞政治部著

 昨年の参院選で決定的となった自民党の劣化と衰退。公明との連立もすでに四半世紀におよび、“賞味期限”が過ぎていたのだろう。有名議員だった「ヒゲの隊長」こと佐藤正久前参院議員によれば「自民党から保守票が逃げている」という。自民党は第2次安倍政権時代の強い保守色で岩盤保守層を引きつけたが、そうやって固めた政治的地盤が自民よりも「右」に位置する参政党や日本保守党に「溶け出した」と本書は分析する。そのきっかけは安倍批判の急先鋒だった石破氏を首相に選んで党をリベラル化させたことだ。そう「ヒゲの隊長」は読む。これが自民党内の保守派の気分なのだという。

 本書は朝日新聞の政治部長が交代したタイミングで始まった一連の取材と連載を新書にまとめたもの。大手全国紙ならではの手際で状況と問題点を網羅し、2大政党制をめざした「平成デモクラシー」が失敗に終わったことを検証する。目標とされた「官邸主導」は達成されたものの、内閣が失敗したら対立党がすぐさまとってかわるはずの2大政党制が定着しなかったために、いびつな安倍1強体制から不安定な保守化へと日本は歩み出してしまったのだ。高市内閣の支持率もその結果とするなら、勘違いでイキり過ぎるとたちまち落とし穴に落ちるだろう。 (朝日新聞出版 1045円)


「自壊する保守」菊池正史著

「自壊する保守」菊池正史著

 何だかんだ言っても戦後の日本政治を自民党が担ったのは事実。それは「右から左までの包括的な支持層を抱えていた」からだ、と本書はいう。しかしその幅広さはいまや新興勢力に奪われた。背景は政治と経済の停滞。小泉改革以降の政策はことごとく成功せず、デフレの中で重苦しい停滞感が募る。

 ここを参政党などに突かれ、「日本の経済が30年間、伸びないように伸びないようにされてきた。これ偶然ですか? 失敗ですか? だれかがわざとやっていませんか? 我々は政府と財務省の言うことは信用できない」と陰謀論を吹き込まれたのだ。著者は小泉改革のときはまだ聴衆に「期待」があったが、参政党への拍手は怒りや恨みや憎しみだったという。小泉は「抵抗勢力」と言ってあおったが、参政党は「政府や財務省」に加えて「外国人」を持ち出してきた。これが聴衆の被害者意識をかき立てたのだ。

 著者はこれまでの自民党歴代総裁を振り返り、小沢一郎の右派ポピュリズムに始まり、小泉~安倍と続く流れを再検討する。強いリーダーなら空疎な論法でもまかり通るという小泉時代の負の遺産が、安倍政権時代により攻撃的に継承されてしまったと批判する。著者は日本テレビ政治部記者だ。 (講談社 1100円)


「告発 裏金」桐山煌著

「告発 裏金」桐山煌著

 自民党凋落のきっかけになった裏金問題。自民党の5派閥がノルマを超えてパーティー券を売った議員に対して、超過分を丸々キックバックとして還付していた。ところが税務申告ではこの分を過少申告していたことが発覚。これが「故意」か「過失」かというところに焦点が絞られ、関係者証言から一気に火が付いたのだ。

 本書はここに始まる自民党内の醜い政争をくわしくルポする。世耕、萩生田、西村、高木、松野の安倍派5人衆をはじめ下村、塩谷など数々の自民党議員がいかに「自分ファースト」の勝手なふるまいをしてきたかが描かれる。副題の「自民党を壊した男たち」は当たり前すぎて物足りないほど。

 版元によると著者は「1974年生まれ。作家・政治アナリスト。永田町、霞が関を中心に豊富な勤務経験を持つ」という。明らかに変な経歴ながら自民党関係者であることは確かだろう。 (新潮社 1980円)


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