著者のコラム一覧
山田勝仁演劇ジャーナリスト

二兎社「パートタイマー・秋子」は「忖度・不正社会」をブラックな笑いで撃つ

公開日: 更新日:

 秋子の見た店の内実はパートたちが店の商品を無断で持ち帰ったり、店長が、賞味期限間近の肉をパックし直したり、倫理感が欠如している。

 青年座による初演は2003年。大手食品メーカーの牛肉偽装事件があった頃だ。これ以降、賞味期限偽装、大吟醸酒原材料偽装など、毎年のように企業の不祥事が続いた。この企業倫理の欠如が政界にまで波及したのは安倍政権以降が顕著だ。公文書改ざんという国家的「偽装」にまで及んだのは知っての通り。

 永井愛は単なる告発劇ではなく、同調圧力で不正に手を染めてしまったり、自己正当化する人間の弱さにも焦点を当てた。

 その象徴が秋子。最初はパート仲間の不正に対して嫌悪感を持っていたのに、日常化すると次第に鈍感になり、そして自らも……。

 周りから浮いてしまうセレブ妻役がぴったりの沢口は自分の手が汚れそうになりながら踏みとどまろうとする秋子を好演した。

 忖度・不正社会に対する強烈なブラックユーモアであり、亀田、生瀬ら芸達者たちの絶妙なアンサンブルで笑いの絶えない舞台となった。ほかに水野あや、稲村梓、関谷美香子、石井愃一ら。

 2月4日まで東京芸術劇場シアターウエスト。その後全国巡演。★★★★

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    佐野勇斗は書道六段で英語も堪能 愛知県立岡崎西高校から明治学院大英文学科へ

  2. 2

    「佐々木朗希を殺す気なのか」 ロッテが頭を抱えた泥沼交渉劇の舞台裏

  3. 3

    嵐の大野智と相葉雅紀、二宮和也が通信制高校で学んだそれぞれの事情

  4. 4

    活動終了「嵐」メンバー「消える人」と「生き残る人」…“一番先行きが厳しい”のは?

  5. 5

    比大統領との国賓晩餐会で高市首相“謎テンション”…またまた動画で恥さらし批判殺到→大炎上!

  1. 6

    これが日本の「中流」サラリーマン転落の軌跡 年金の「繰り上げ受給」を選ぶのは、お金と仕事がない人

  2. 7

    嵐が去った後に340万人のファンが向かう先…Snow Man、M!LKに次いで有力“不祥事グループ”「ACEes」に募る不安

  3. 8

    案の定ナフサは不足…それでも楽観論ふりまく赤沢経産相がついに「報道介入」の異常事態

  4. 9

    りくりゅう人気で評価爆上がり 木原龍一の元パートナー高橋成美が秘めるポテンシャル

  5. 10

    【スクープ第5弾!】北海道自民12陣営にも衆院選での違法「広告動画」疑惑が発覚